悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「……それは、ふたりとも驚いていたでしょう」
「ああ、女将は白目を剥いてたし、主人は顎が外れて大騒ぎだったな」

 やっぱり……それは本当に申し訳ないことをした。というかそれだけの話を、いつの間にしたのだろうか。いや、あれだけ体力があるんだし、恐ろしいことにまだ足りなそうだったし、私が深く眠っているうちに済ませたのだろう。

「後で化粧水も継続すると話さなきゃ……」
「必要なら俺も手配など手伝うから」
「うん、ありがとう。フレッド」

 なにはともあれ、私が抜けても迷惑だけはかけたくない。化粧水は運営者にオリジナルレシピを伝えて、直接卸すように頼もう。ご主人と女将さんの希望があれば種類を増やしてもいい。

 というか、ついでだからリフォームの提案もしてみようか。一カ月では手をつけられなかったけど、気になっているところが諸々あったのだ。前世の職業の経験を生かして作った化粧水の店舗は評判がよかったから、きっと私のリフォームの提案はこの世界でも通用するはずだ。

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