悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「申し訳ないですが、貴女を誰にも渡す気はありません」
「え? え? え?」
「おや、気が付いてなかったのですか? 散々アピールしてきたと思うのですが」
「え? な、な、なんのことですか?」

 どうしよう、ヨシュア様の言っていることが全然、まったく、わかんない!!

「私がミカエラ様をお慕いしていると。そしてミカエラ様も私が好きでしょう?」
「……え——!?」

 まさか。そんな。ありえないと思うけど!? どこをどうやったら、そうなるんですか!?
 ファンブックにも、小説のあとがきにも、SNSの呟きにも、どこにもそんなこと書いてませんでしたけど!?

「ふふっ、驚いた顔もかわいらしいですね。頬を染めて、潤んだ瞳に私だけ映して、たまりません」
「え、あの、なんだかいつもと違いません……?」
「ふふっ、普段から自分を晒け出すことなんてしませんよ。あれは対外的に必要だから仮面をかぶっているだけです。私が仮面を取るのはミカエラ様の前だけです」

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