悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 結局そのまま休憩室で夜を明かし、ヨシュア様の腕の中で朝を迎えた。
 寝起きのヨシュア様が朝から神々しい。夢にまで見た最推し、いや最愛の人との朝チュンである。わたしはこの日を一生忘れない。

「これで、ミカエラは私にしか嫁げなくなりましたね。ふふ、嬉しいです」
「ヨシュア様……」
「名前」
「ヨ、ヨシュア……」
「ふふっ、よくできました。ご褒美に私の愛を注ぎましょう」
「ひぇっ!」

 ただでさえ神々しいヨシュア様はわたしにキスの雨を降らし、赤い花びらを散らしていく。そうしてぐずぐずになるまで溶かされて、散々愛された。

「私の愛しい人、ようやく手に入れた——」

 満足そうに微笑むヨシュア様の呟きは、わたしを溺れさせるには十分だった。



 ——後日、お父様から「まったく兄妹揃って……! 少しは皇族として貞操観念というものをだな…… 」とお説教された。
 どちらかというと姉妹揃ってなんだよなぁと思ったけれど、それは黙っておいた。


< 218 / 224 >

この作品をシェア

pagetop