悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「ユーリ!? どうした!? ちょ、これ、とりあえずタオルで……」
「ふふっ、ごめんなさい。昔のこと思い出して、涙が出てきちゃっただけなの。大丈夫、悲しいわけじゃないの」
「そ、そうか……? はあ、それならよかった」
そう言ってフレッドは優しく抱きしめてくれる。
大きくて温かいフレッドの愛に包まれて、私は今、とても幸せだ。
それからも私とフレッドは穏やかで平穏な日々を過ごしている。
毎日フレッドと同じベッドで眠り、たくさん愛されていた。ただ結婚式の前に子供ができてはさすがに体裁が悪いので、皇后様にも相談してそれまでは避妊薬も飲むことにした。
ところがある日、目が覚めると隣で眠っているはずの夫がベッドの上で膝を組んで姿勢よく座っていた。
「ねえ、フレッド。なにをしているの?」
「……瞑想だ」
瞑想……? 確か精神の鍛錬とか言っていたわね? 帝都で一緒に暮らしはじめてから、フレッドはよくこうやって鍛えていた。でも。
「なぜ今なの?」
「…………」
答えが返ってこない。そんなにおかしな質問だっただろうか? いや、そんなことはないはずだ。
婚約者の奇行に私がなにか粗相をしたのかと考える。
「ふふっ、ごめんなさい。昔のこと思い出して、涙が出てきちゃっただけなの。大丈夫、悲しいわけじゃないの」
「そ、そうか……? はあ、それならよかった」
そう言ってフレッドは優しく抱きしめてくれる。
大きくて温かいフレッドの愛に包まれて、私は今、とても幸せだ。
それからも私とフレッドは穏やかで平穏な日々を過ごしている。
毎日フレッドと同じベッドで眠り、たくさん愛されていた。ただ結婚式の前に子供ができてはさすがに体裁が悪いので、皇后様にも相談してそれまでは避妊薬も飲むことにした。
ところがある日、目が覚めると隣で眠っているはずの夫がベッドの上で膝を組んで姿勢よく座っていた。
「ねえ、フレッド。なにをしているの?」
「……瞑想だ」
瞑想……? 確か精神の鍛錬とか言っていたわね? 帝都で一緒に暮らしはじめてから、フレッドはよくこうやって鍛えていた。でも。
「なぜ今なの?」
「…………」
答えが返ってこない。そんなにおかしな質問だっただろうか? いや、そんなことはないはずだ。
婚約者の奇行に私がなにか粗相をしたのかと考える。