悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 ずっとずっと誰にも頼らず頑張ってきた私を、守ってくれると言ってくれるの?
 もう、ひとりで頑張らなくてもいいの?

 でも男性不信の私は、すぐに返事をすることができない。フレッドを男性として信じたい気持ちはあるけれど、どうしても信じるのが怖い。何度も何度も甘い言葉を囁かれては、裏切られ続けてきたのだ。

「こんなダラのプロを目指すような私で幻滅しないの?」
「ははっ、あれには驚きましたが、その前に十分すぎるほどお仕事をされてましたから。メリハリがあっていいと思います」
「本当に、ずっと、一生守ってくれるの?」
「はい、この剣に誓って。俺は生涯ユーリ様だけを愛し、お守りいたします」

 騎士が剣に誓うということは、まさしく命懸けで誓いを果たすということだ。誓いが果たせなければ自らの命を持って償うほど、その決意は固く重い。

 どうしよう、すごく嬉しい。でも、このまま頷いてもいいのだろうか?  前世も含めてこんな経験ないから、どうしていいのかわからない。それに、嬉しいだけじゃ返事できない。私の問題ではあるけれど、フレッドを異性として信頼できるかどうかわからないのに。

「あの、すごく嬉しいけど……ちょっと……」
「やはり、すぐには決断できませんか。では、俺と一緒に来ていただきたいところがございます」

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