悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 それから製作者を突き止めるのはあっという間だった。皇女の権限を最大限に行使して、調べ上げた。なんとお姉ちゃんは物語の舞台である、バスティア王国の悪役令嬢ユーリエスとして転生していた。このままではお姉ちゃんはバッドエンドを迎えてしまう。

 そこでわたしは兄様にすべて打ち明けて、お姉ちゃんを救い出すことにした。ただ、お姉ちゃんの記憶が戻っているかはわからない。慎重に進めなければならないし、下手に動いて物語が変わりすぎても対処できなくなる。大きく動くのは、破滅回避してからだ。

 そこでお兄様にはお姉ちゃんより最高の相手はいないと勧めて興味を持たせ、まずはフランセル公爵家に送り出した。婚約者だけでも決めろとお父様はお兄様にうるさく言っていたから、結婚相手にふさわしい令嬢がいたと言えば反対はされない。むしろ大喜びで留学だのなんだのと理由をつけて送り出すはずだ。

 こうしてわたしはお姉ちゃんと幸せになるために、暗躍した。



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