悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
第四章 変わりゆく物語
12話 逃げる悪役令嬢
* * *
私は美華ことミカエラ殿下とフレッドに引きずられ、明らかに皇族の住居区画と思われる一室へ連れていかれた。
部屋の中は細やかな細工が施され、惜しげもなく金や宝石で飾られた家具が並んでいる。これだけゴージャスでもいやらしさを感じない。上品でシンプルにまとめているからだろうか。
ソファーもふかふかで生地を撫でると、その肌触りのよさがクセになる。私が座ると侍女がさっとお茶を用意してくれた。無駄のない動きに優雅な指先。すべてが完璧だ。
……いったい、いつからこの部屋を用意していたの?
そう思ったけれど、深く考えるのが怖くなったのでやめた。
そこへミカエラ殿下の侍女だという女性がやってきた。
「ミカエラ殿下、申し訳ございません。こちら至急の手紙が届いております」
「あー、仕方ないわね。ここはお姉ちゃんの部屋だから好きに使っていいからね。化粧品作りの研究もできるように、道具も素材も用意してあるから。すぐ戻ってくるね!」
「そうだ、ユーリ。ゆっくり休んでいてくれ。俺は父上と母上に報告してくる」
「…………」
私は美華ことミカエラ殿下とフレッドに引きずられ、明らかに皇族の住居区画と思われる一室へ連れていかれた。
部屋の中は細やかな細工が施され、惜しげもなく金や宝石で飾られた家具が並んでいる。これだけゴージャスでもいやらしさを感じない。上品でシンプルにまとめているからだろうか。
ソファーもふかふかで生地を撫でると、その肌触りのよさがクセになる。私が座ると侍女がさっとお茶を用意してくれた。無駄のない動きに優雅な指先。すべてが完璧だ。
……いったい、いつからこの部屋を用意していたの?
そう思ったけれど、深く考えるのが怖くなったのでやめた。
そこへミカエラ殿下の侍女だという女性がやってきた。
「ミカエラ殿下、申し訳ございません。こちら至急の手紙が届いております」
「あー、仕方ないわね。ここはお姉ちゃんの部屋だから好きに使っていいからね。化粧品作りの研究もできるように、道具も素材も用意してあるから。すぐ戻ってくるね!」
「そうだ、ユーリ。ゆっくり休んでいてくれ。俺は父上と母上に報告してくる」
「…………」