悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「それでね、お姉ちゃんは『勇者の末裔』についてどれくらい覚えてる?」
「そうねえ、五百年前に魔王を倒した英雄が忽然と姿を消したことから始まって、イリス様ある日の夜会でクリストファー殿下と出会って恋に落ちるけれど婚約者がいるからと耐えていたのよね。それで私が刺客を送ったことで断罪することができて、その後もなんやかんやあって、ようやく結ばれる。ってくらいね」
「うん、大筋では合ってるね。その後の『なんやかんや』がざっくりすぎるけど」
「あはは……ごめんね、ちゃんと覚えてなくて」

 大丈夫だよと言って、ミカは物語を改めて教えてくれた。

 続きはこうだ。ようやく結ばれると思ったふたりだが、聖女へレーナが現れる。聖女はクリストファーを望み国王も納得しているが、実は邪神の復活を狙う邪教の信徒だった。
 そのことに気がついたイリスは陰謀を食い止めようと必死になり、隣国の皇太子アルフレッドに出会う。アルフレッドも魔王の復活を阻止したくて手を組むのだ。

 それがクリストファーから見たら心が離れたように感じて、聖女の罠に(はま)りそうになる。それでもイリスを愛していると聖女を跳ね除け、イリスを信じた。その頃、イリスはアルフレッドから熱烈に求婚され、困惑するものの愛しているのはクリストファーだと告げる。
 最後は邪神を打ち滅ぼして、聖女の悪事も暴露し、こうしてイリスとクリストファーは結ばれた。

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