気になる彼はドクターヘリに乗る救急医
「うちの病院に搬送されるらしいから、後で自分の車に乗ってくるみたいだよ」
「氏家先生、遅れて来るんですね」
「バタバタしちゃったけど、そういうこと」
「あたしが着替えてる短い間に、大変でしたね……力になれなくて、すいません市川さん……」
「白井さんがいたら、要領よく短時間で処置できたかもしれない」
二人は友人か恋人同士?氏家先生との関係が気になる。
でも、私はこの人たちと初対面で何も知らない。
「あの、お話中にごめんなさい」
「なによ、アンタ」
いきなりアンタとか言ってる、この女性は圧が強すぎて怖い。
私が氏家先生や市川さんと、話してたのが気に入らないんだ。
目尻を吊り上げて不快な表情をしながら睨んでくる。
「どこの病院に搬送されたか、知りたいんです」
「教えないわよ」
「そんな……」
まあまあ、と言いながら市川さんが笑顔を見せてくれた。
「ロビーに戻ったら、メモ紙に書いてあげるから。それでいいかな?」
「ありがとうございます」