気になる彼はドクターヘリに乗る救急医
3.ドクターヘリ、エンジンスタート
週明けの月曜日。
午前10時が過ぎたぐらいのタイミングで、私は会議室へ呼び出された。
「でしょうね……」
だいたいの予想はついてる。
覚悟を決めて入室すると、すでに部長が俯き加減で椅子に座っていた。
「高梨くん、部長からだいたいの話は聞いた。社長が倒れたことも」
私が椅子へ座る前に、常務が話しかけてくる。
その場に立ったままで、私は耳を傾けた。
「さっき、あの会社の専務から、一方的に契約解除だと言われたよ」
「はい……」
「あの商品、うちより安い単価で納品する業者っていったら……」
「すぐに分かると思います」
「決めるのは会社の社長だ、ここで諦めたら終わりだぞ」
「長年、取引してくれていましたからね……」
「悪いが高梨くん、もう一度だけ社長と話してきてくれないか」
「はい……」
常務がいつも、営業2課に言ってることがあった。
諦めたら、そこで終わりだって……