気になる彼はドクターヘリに乗る救急医
しつこい営業は嫌われるけど、ここで引くことはできない。
昼休みが終わってから、社長が入院した病院へ足を向けていた。
ゴルフ場のロビーで、市川さんから病院の場所は教えてもらってる。
社長が回復して話せる状態か分からないけど、行くことに決めた。
営業車に乗り、自分で運転して目的の病院へ目指す。
会社の名前が入ったシルバーの営業バンを、病院の駐車場に止める。
「乗り心地、悪っ!」
椅子が貧祖で、道路のデコボコもお尻に伝わってくるのよね。
腰の辺りを右手で擦りながら、病院に入って社長の病室を聞く。
私の身なりを、受け付けの人が見てる。
会社の制服ではなく、オシャレなブラウスにジャケット、タイトで少し短いスカートを履いていた。
毛先が胸元まであるストレートの髪を整え、爪も長くてネイルをしてる。
営業だから、メイクにも気を遣ってるけど……私の外見が気になるのかな……
受付の人は、私と目線を合わせないまま部屋番号を教えてくれた。
パンプスをカツカツ鳴らしながら廊下を歩いてると、すれ違う人に睨まれてしまう。
「どうして!?」