気になる彼はドクターヘリに乗る救急医
氏家先生の言葉に腹が立って、声が裏返ってしまった。
「もうそろそろ時間だ、まずいぞ市川」
「なにがだ?」
氏家先生は落ち着かない様子で、私の話を聞いてない。
市川さんは、首を傾げて不思議顔。
その時……
「なんでアンタが、ここにいるのよ……」
私の背後で、嫌な気配を感じ取った。
振り返ると、低音で恨みのこもった声を出していたのは……
「白井さん!」
目尻を吊り上げ、眉間に皺を寄せて鬼の形相。
腕組みしたまま、私のことを睨んでる。
「ナースコールに駆けつけてたんだって、聞いてるよ」
市川さんに続いて、氏家先生も口を開く。
「お疲れ、遅れてくることは知ってたから問題ない」
素っ気ない言いかたで頷いてる。
「あたしのことはいいの、それよりアンタ!どこ座ってるのよ!」