気になる彼はドクターヘリに乗る救急医


「どうしました?」


「営業車が出払ってて、夕方まで帰ってこないんだよ」


「そうなんですか!こまりましたね……」


「他に何かないか聞いてみたんだが、役職が乗る黒いセダンをつかっていいそうだ」


「えっ、あの高級車ですか!」


「許可はもらってるから、だいじょうぶ」


「わかりました」


「気をつけて行ってこいよ」


 あの高級セダンは、自分で運転してみたかったから嬉しい。

 部長の席から離れて、廊下に出てから小走りで車両置き場に向かった。


「黒いけどピカピカ、私の顔が写り込んでる!」


 さすが高級車、シルバーの営業バンとは訳がちがう。

 車両管理の人に「ぶつけるなよ」と言われて身が引き締まる。



 まあ、だいじょうぶだよね、きっと……




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