気になる彼はドクターヘリに乗る救急医
6.最前線の救命医療
「いてて……」
痛みで目が覚めると、なんだか周りが騒がしい。
運転席側のドアは無く、外が見える。
警察官が車両通行止めにして、車を迂回させていた。
周りは消防車だらけ、救急隊員の人たちがまわりを囲んでいる。
私が乗る車に水をかける準備をしていた隊員は、消防ホースを手際よく設置いた。
フロントが大破した車も、すぐ横に止まってる。
中から人が助け出され、救急車に乗せられていた。
「これって……私、事故にあったの……」
小声で呟いてみたけど、消防隊員の耳には届かないよね。
「意識もどりましたか? 声は聞こえます? 消防ですけど、わかりますか?」
そっか、私しばらくの間、意識を失ってたんだ。
「はい」
「ごめんなさい、さきほど身分のわかるものとして、免許証をおかりしました」
私はその言葉に、無言で頷くだけ……