気になる彼はドクターヘリに乗る救急医


「痛いところはあるか?」


「痛いってゆうより、暑い……」


「右腕は骨折してる。今は事故を起こした緊張でアドレナリンが出てるから、痛みは感じづらい」


「そうなんですか……」


 氏家先生の的確で冷静な判断。

 こんな状況でも顔色すら変えない。


「白井、パンプスを脱がせろ」


「はい!」


 先生の指示で、白井さんも動く。


「終わりました」


「よし。じゃあ、俺が足の指先を強く押すから、痛かったら言ってくれ」


「はい……」


 氏家先生は、私の足の指先を爪を立てて強く押した。


「いた、痛いです……」


「よし、痛覚はあるな。今のところ脊髄はだいじょうぶみたいだ」


「先生、お腹がなんか、ちょっと……」


「おい白石、ブラウスを上げて腹部を見てくれ!俺はエコーの準備をする!」



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