気になる彼はドクターヘリに乗る救急医


「ごめんなさい、ちょっと見せてね」


 氏家先生に代わって、白井さんが私の腹部を見てる。

 女性だから、気を遣ってるのかな。


「先生、右脇腹に内出血です」


「エマージンシーメディカルバックからエコーは取り出して準備した、水溶ジェルを頼む」


「はい!」


 阿吽の呼吸で無駄な動きがない。

 次々と症状をみつけていく。


「ちょっと冷たいけど、我慢してくれ」


「……あっ」


 モニターを見つめる氏家先生は、話すのを止めて白井さんに目で合図を送ってる。

 白石さんも目を細めてモニターを確認すると「わかかりました」とだけ言って口を噤んだ。


「腹腔内出血も疑われるが、白井、もっとあれだな」


「先生の言いたいことは、アレですね」


 氏家先生は無言で頷いてる。


「すぐにレスキューが来るぞ! 道路が渋滞してるから、到着が遅れてる」


「気を確かに、あたしたちがいるから」



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