気になる彼はドクターヘリに乗る救急医


 心強い言葉をかけてもらい、私は心を落ち着かせる。


「来ました、すぐ作業に入ります」


 鳴り響くサイレンが止まると、特殊な工具を持った隊員が駆け寄ってきた。


「ジャッキを使います、離れてください!」


 挟まれていた足の周りに、隙間ができはじめた。


「氏家、ストレッチャーここに置いとくぞ!」


「市川、サンキュー」


 パイロットは、やっぱり市川さんだった。

 でも、私には目もくれず、すぐにヘリの所へ戻っていく。

 消防隊員の手を借りて、私は大破した車から出ることができた。


「ストレッチャーに乗せるぞ!1,2,3!」


 掛け声に合わせてストレッチャーに乗せられると、すぐにドクターヘリの所へ向かって行く。

 すでにヘリ後部の扉は開かれ、ストレッチャーに乗ったまま私はヘリの室内に押し込まれる。


 直後にカン高いエンジン音がなり響き、ローターも高速で回り始めていた。

 私に点滴をしたり、医療機器を素早く装着して飛び立つ準備をしてる。


「積乱雲が迫ってる、もうすぐこの地域は雨がふってくる予報だ!」


 市川さんが大きな声で氏家先生に知らせてる。


「じゃあ急いで飛んでくれ!」


「了解!」



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