図書委員のさいとうさん。
その後、無事塔の上にのぼることができるようになった王子。
ラプンツェルと毎日逢瀬を重ねていた。
そして俺は毎日王子の警護………。



イチャついてるやつらを、塔の下でみまもらなければならぬ。
ずるいなー、いーなー、俺も彼女とかほしいよ……………。



そんな生活が3ヶ月続いた。
りなは1ヶ月くらい本の中にいたって言ってたけど、俺はもう4ヶ月近くなってきた……。



(帰れるのか?俺。)



とても不安。
でも自分では出られないし、動けないし、どうしようもない……。



ゴンッ………!



そんなことを考えていたら、突然背後から誰かに襲われた。
鈍器のようなもので、頭を殴られた。
遠のく意識の中でこれから起こる恐ろしいことを防げなかった自分を責めていた。



王子……申し訳ない………………。












気付いたら、既に塔の上には誰もいなかった。俺は大急ぎで城に戻り、王に報告し兵を引き連れ王子とラプンツェルを探した。
………数年後。
王子は城に戻ってきた。
ラプンツェルと双子の子供を連れて。
良かった……この数年間、俺の心は何度も折れそうになった。



本の中で何年も暮らす羽目になり、お前のせいで王子が消えたと皆に罵られ。
でも優しく接してくれた人もいたし、見たことのないような建物や景色にも触れられた。
やっとこの世界で俺は生涯を終えてもいい、と思えるようになったその時。



俺は光に囲まれた。



……目が覚めたら、ベッドの中で。
俺の部屋だった。
元の世界に戻ってきた!
10年近くいた、あの世界。
俺はもう23歳近くなっていたはずだ。
鏡を見ると、13歳の俺のままだった。
慌ててスマホを手に取り、今日は何日なのか確認した。



『2023年3月17日』



うそだろ?
まだ1日しか経ってない?
あの苦しかった日々は、夢なのか…………?













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