図書委員のさいとうさん。
え?小さな女の子?
でもあそこにいたのってさいとうさんと私だけ………。
ってことは、さいとうさんが??
人間ではない!!?



(そうだね、人間ではない。こんなことただの人間にできるわけないだろ。)



そりゃそうだ。
できるわけない。
ってか、私いま本の中なんだよね?
戻れるの?



頭の中がパニック状態だ。
そんな私を心配してくれたのか、おばあさんが優しく教えてくれた。



(大丈夫だよ、いつか戻れる。あんたが戻らないと目的が果たせないからね。ただいつになるかは……ちょいと時間がかかりそうだよ。それまでは私の中にいるといいさ。)



ありがとうございます……。
心のなかでお礼をし、おばあさんとともに魔女として生活することにした。
だって、どうすればいいかわかんないもん!



魔女の生活はなかなかハードだった。
朝起きて、身支度を整え庭に集まる小鳥にパンくずを与える。
庭で育てている薬草を摘み、ありとあらゆる種類の薬を作る。そしてそれを月に1度、街の人々に売りにいく。色々な病気によく効くと評判だ。
しかも意外と安価で売っている……優しいんだな、おばあさん。



(………高値でいいものを売って治ってしまうより、安値で長く病気でいてくれたほうが儲かるからね。)



ちょっと恥ずかしそうにおばあさんは言い訳をしてきた。
高値だと買えないから、安くていいものを売っていることくらい私にもわかる。
なぜならば、おばあさんの知っている薬学の知識が私の頭にも入ってきているからだ。



そういうことにしときますよ(笑)



心の中でそう言って、私は街の人々に薬を売り歩いた。早々に売り切れたので、パン屋でパンを買って帰ることにした。
すると、パン屋で女将さんが話しかけてきた。



「来週、お城で祝賀会が開かれるんですよ。街も大盛りあがりですよ!」と。



私、招待されてない。
まさか……。



(そうさ、私は13番目の魔女だよ。)







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