図書委員のさいとうさん。
私とおばあさんは99年もの間、研究をしては色々な薬を作っていた。
2人で考え、失敗しても笑いあい、また作る。
茨は城を覆い尽くし、街の人は誰も近寄らない。たまに近隣国の王子が姫の噂を聞きつけてやってくるが、茨に邪魔されて命を落としているらしい。
あと少し待てば勝手に呪いは解けるのに……。
そして、ついに100年経ったある日。
茨は消えていく中、たまたま噂を聞きつけた隣の国の王子がやってきて姫と出逢ったらしい。そしてふたりは愛し合い、結婚した。
(すべて終わったね、アヤ。)
そうだね、マーサおばあさん。
毎日楽しかったよ。
色々なことを学んで、語って。
ありがとう、あの日私を助けてくれて。
すると、身体中から光がに包まれていった。
(おまえさんとの100年、わたしも楽しかったよ。こちらこそありがとうよ……。)
かすかに聞こえたマーサおばあさんの声。
そして私は気を失った……………。
朝だ。
目覚まし時計が鳴り響いている。
アラームを止めて、私は周りを見渡した。
とても懐かしい自分の部屋。
手を見たら、瑞々しい肌。
間違いなく元の世界の私だ。
机の上に置いてある本を手に取り、鞄に入れた。そう、私の行くべきところへこの本を持っていかなければ。今すぐに。
朝の身支度をし、すぐに学校に向かった。
朝から図書室にいく生徒はいない。
私はまず職員室にいき、図書室の鍵を持ち出した。
カチャ
鍵を開け、引き戸を開く。
そこにはすでにさいとうさんがいた。
「おはよう、どうだった?」
にこにこしながら私に本の感想を聞いてきた。私が100年もの間、マーサおばあさんに教えてもらったことを知っているのか。
私は『いばら姫』をさいとうさんに手渡しながら言った。
「……真実は、表だけではなく裏も見てから判断するようになれました。」
「そう、素敵ね。あなたも本を読んでたくさん学んできたのね。良かったわ!」
そう言いながらさいとうさんは貸出カードに返却日を記入していた。
3月23日。
たった1日しか経っていない。
「あ……あの時、私のお願いを聞き入れてくれてありがとうございました。」
「いいえ、あなたの選択肢はとても素晴らしかったわ。」
否定しない。
さいとうさんは、ほほえみながら貸出カードに右手をかざした。
『あなたは特別。見せてあげる。』
そう言った瞬間、右手からさいとうさんは力を放った。一瞬だがとても眩しい光。
すると、カードから虹色に輝く卵が!
『素晴らしいわ………………!!!』
さいとうさんは、ダチョウの卵くらいの大きさの虹色に輝く卵を大切に抱えながら言った。
『絢さん、あなたのおかげでこんな素晴らしい卵が生まれたわ。魔女のおばあさんにも感謝しないとならないわね。』
「いえ、感謝なんて。……マーサおばあさんからすべて聞きました。少しでもさいとうさんのお役に立てて嬉しいです。」
『本当に感謝するわ……。』
そう言って、さいとうさんは虹色に輝く卵を抱えながら赤いハードカバーの本の中に消えていった。
2人で考え、失敗しても笑いあい、また作る。
茨は城を覆い尽くし、街の人は誰も近寄らない。たまに近隣国の王子が姫の噂を聞きつけてやってくるが、茨に邪魔されて命を落としているらしい。
あと少し待てば勝手に呪いは解けるのに……。
そして、ついに100年経ったある日。
茨は消えていく中、たまたま噂を聞きつけた隣の国の王子がやってきて姫と出逢ったらしい。そしてふたりは愛し合い、結婚した。
(すべて終わったね、アヤ。)
そうだね、マーサおばあさん。
毎日楽しかったよ。
色々なことを学んで、語って。
ありがとう、あの日私を助けてくれて。
すると、身体中から光がに包まれていった。
(おまえさんとの100年、わたしも楽しかったよ。こちらこそありがとうよ……。)
かすかに聞こえたマーサおばあさんの声。
そして私は気を失った……………。
朝だ。
目覚まし時計が鳴り響いている。
アラームを止めて、私は周りを見渡した。
とても懐かしい自分の部屋。
手を見たら、瑞々しい肌。
間違いなく元の世界の私だ。
机の上に置いてある本を手に取り、鞄に入れた。そう、私の行くべきところへこの本を持っていかなければ。今すぐに。
朝の身支度をし、すぐに学校に向かった。
朝から図書室にいく生徒はいない。
私はまず職員室にいき、図書室の鍵を持ち出した。
カチャ
鍵を開け、引き戸を開く。
そこにはすでにさいとうさんがいた。
「おはよう、どうだった?」
にこにこしながら私に本の感想を聞いてきた。私が100年もの間、マーサおばあさんに教えてもらったことを知っているのか。
私は『いばら姫』をさいとうさんに手渡しながら言った。
「……真実は、表だけではなく裏も見てから判断するようになれました。」
「そう、素敵ね。あなたも本を読んでたくさん学んできたのね。良かったわ!」
そう言いながらさいとうさんは貸出カードに返却日を記入していた。
3月23日。
たった1日しか経っていない。
「あ……あの時、私のお願いを聞き入れてくれてありがとうございました。」
「いいえ、あなたの選択肢はとても素晴らしかったわ。」
否定しない。
さいとうさんは、ほほえみながら貸出カードに右手をかざした。
『あなたは特別。見せてあげる。』
そう言った瞬間、右手からさいとうさんは力を放った。一瞬だがとても眩しい光。
すると、カードから虹色に輝く卵が!
『素晴らしいわ………………!!!』
さいとうさんは、ダチョウの卵くらいの大きさの虹色に輝く卵を大切に抱えながら言った。
『絢さん、あなたのおかげでこんな素晴らしい卵が生まれたわ。魔女のおばあさんにも感謝しないとならないわね。』
「いえ、感謝なんて。……マーサおばあさんからすべて聞きました。少しでもさいとうさんのお役に立てて嬉しいです。」
『本当に感謝するわ……。』
そう言って、さいとうさんは虹色に輝く卵を抱えながら赤いハードカバーの本の中に消えていった。