図書委員のさいとうさん。
お城のパーティ当日。



朝早くからうちは大忙し。
ありとあらゆるパンを焼いて焼いて焼いて!!!!!!
麻の袋に入れ、それを手押し車に乗せる。
そしてお城に運ぶ。



とてつもない重労働…………。



お城からの帰り道、旦那様の馬車が横を通りかかった。シンデレラはいない。きっと今頃泣いているのであろう。



「可哀想になあ……旦那様も自分の娘に何ていう仕打ちを……。」



父さんが言った。



「ほんとだよ、あんないい子を……。」



母さんが言った。



私は、静かに手押し車を後ろから押していた。これから継母と姉たちに起こるとんでもない事件を想像しながら……。






3日後。
王子様が金の靴を持って街へやってきた。
旦那様の屋敷に入っていき、姉を連れ出し……また戻ってきて、を繰り返した後。



やっとシンデレラが馬車に乗ってお城へ行った。これで幸せになれるね……。
ほんとに良かった。



心から幸せを祈って馬車を見送った後、街は大騒ぎだった。
二人の姉が、血だらけだ!と!
このままでは足を切らなければならないかも、とか死んでしまうかも、とか。
しかも母親が切れと言ったと!!!



それはそれは大騒ぎだった。
その後、とんでもない恐ろしいお屋敷だとみんな近寄らなくなった………………。














眩しい。
窓からの光。



目が覚めたら、そこは『私の部屋』だった。
さっきまでパン屋の娘として働いていたのに。今までのことが、すべて夢だったの?
私は部屋を出て1階にダッシュで降りた。



「お母さん!!今日は何日!?」



「え?3月15日……だけど?」



1ヶ月近くいたのに、ひと晩しか経ってない……。ほんとに夢だったの!?
童話の中の世界で体験したあのドキドキした日々は、夢だったの………??
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