推しがいるのはナイショです!
 耳を突き刺す破裂音がして、ステージに火花が上がった。

『みんなー! ついてきてる? 次の曲、いっくよー!!』
 マイクを持った、赤い髪の男性が笑顔で叫ぶ。青、黄色、緑、オレンジ。それぞれの色と瞳の5人組が、アップテンポで歌いだした。

「すごいでしょ、お姉。これ、ミキシングしてなくてこのハーモニーなんだよ」
 まるで自分の事みたいに得意げに雪が言った。うん、と上の空で応える私の目は、画面にくぎ付けだ。

 すごい。今のアイドルて、こんななの?

 アイドルって言うからもっと子供っぽいのかと思ったけど、この人たち多分、みんな私と同じくらいか年上だよね。
「これ! この青いのがクウヤ。今、バク転したのがカツヤね。お姉の好みはタカヤでしょ。この緑の長い髪の。あ、この肩組んでる二人がイチヤとフミヤ」
 次々に映し出されるメンバーを紹介してくれる。

 きらびやかな照明の中に、シックな衣装が大人っぽい。以前見ていたアイドルのような華やかで派手なパフォーマンスではないけれど、目を引きつけるダンスでステージ中を動き回る。透き通るような声はマイクを通しても、響きと張りが耳に突き刺さってくる。

 なんなの、この人たち。

 それが、私と『RAG-BAG』ー通称、ラグバとの出会いだった。

  ☆

< 1 / 75 >

この作品をシェア

pagetop