推しがいるのはナイショです!
それは、いつも通りの毎日の終わりだった。
いつも通りに仕事を終わらせて、いつも通りに電車に乗って、いつも通りに家に帰る。
少し退屈で、全然変化のない毎日。そんな毎日の終わりに、私は久遠に出会った。
会社が終わって、いつも通りに駅に向かう。改札が見えた私の耳に、耳障りな男の声が飛び込んできた。
「な、ちょっと付き合えって。絶対楽しいからさ」
「少しカラオケでも行くだけじゃん」
「と、通してください……」
声の方を見れば、男とは対照的に消え入りそうな声で答えているのは、高校生くらいの制服の女の子だ。男二人に囲まれて、逃げるに逃げられないらしい。
そばを通っていく人たちは、ちらと視線を送る人も多いけれど誰も彼らに声をかけたりしない。
私も一瞬目をそらしかけたけれど、視界に、震えるその子の足が目に入った。
怖い。でも、あの子はきっと、もっと怖い。
私は、バッグの中に入っているパスケースを思い出して、上から押さえた。
(勇気をちょうだい)
よし。
「と、通してあげてください」
「あ?」
私が声をかけると、男たちはこっちをみる。
いつも通りに仕事を終わらせて、いつも通りに電車に乗って、いつも通りに家に帰る。
少し退屈で、全然変化のない毎日。そんな毎日の終わりに、私は久遠に出会った。
会社が終わって、いつも通りに駅に向かう。改札が見えた私の耳に、耳障りな男の声が飛び込んできた。
「な、ちょっと付き合えって。絶対楽しいからさ」
「少しカラオケでも行くだけじゃん」
「と、通してください……」
声の方を見れば、男とは対照的に消え入りそうな声で答えているのは、高校生くらいの制服の女の子だ。男二人に囲まれて、逃げるに逃げられないらしい。
そばを通っていく人たちは、ちらと視線を送る人も多いけれど誰も彼らに声をかけたりしない。
私も一瞬目をそらしかけたけれど、視界に、震えるその子の足が目に入った。
怖い。でも、あの子はきっと、もっと怖い。
私は、バッグの中に入っているパスケースを思い出して、上から押さえた。
(勇気をちょうだい)
よし。
「と、通してあげてください」
「あ?」
私が声をかけると、男たちはこっちをみる。