ミミちゃん
家で出される食事やお菓子は、雇われたコックやパティシエが作る豪華なものばかりで、誕生日やクリスマスでなくても、可愛いぬいぐるみなどをいつでも買ってもらえる。

着ている服も、持っているバッグも、セレブが持っているような高級ブランドのもので、クラスメートに「すごいね!さすがお嬢様だね!」と取り囲まれて羨望の眼差しを送られる。その時間が、英美里は好きだ。

中学生になっても、それは変わらない。私立の中学校を受験した英美里は、学校で着るのは指定の制服だが、持っている通学用かばんは高級ブランドのものである。毎週違うブランド物のかばんを持ち、教室に入ればクラスメートが寄って来ては、英美里の宿題を代わりにしてくれたり、飲み物を買って来てくれたり、お姫様のように扱ってくれる。お姫様のような扱いは家でも同じだ。だから英美里は、眠る直前まで幸せに満たされているのだ。……この夢を見るまでは。

「誰なのよ!?毎晩のように私の夢の中で泣いて……!!鬱陶しいわね!!」
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