転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～
クレアと夕暮れの公園を歩く。
少し先にはこの公園が管理している特別なお花が植えられている一画がある。

「わぁ。綺麗に咲いているね」

「そうね…懐かしいわ」

「え…」

クレアが僕を見つめている。
何か言いたそうな瞳で。

ふと、何かがよぎる。

「あれ…？」

僕は顎に指を添えて記憶を辿ろうとした。
何か懐かしい記憶があるような…。
でも分からない…。

「もうひとつ、お願いしてもいい？」

「うん」

僕はクレアを見つめた。

「ダンス…。ルカとダンスが踊りたいわ」

僕は微笑みながらスッとクレアにお辞儀をする。

「僕と踊っていただけますか？ クレア」

「はい……」

クレアが僕に手を差し出す。
僕はそっと手を握った。

夕日に染まり綺麗な花に囲まれてふたりだけのダンス。
レッスン室で君と踊った頃をまた思い出す。
あの頃より上手になったクレアのダンス。
あの頃とは違い足元ではなく、僕を見てくれる。

少し大人になった僕達。
背も高くなり、目線の高さも変わった。
君は大人の女性らしくなってきた。
僕は君にとってどうなったかな？
微笑み合いながら僕のリードでダンスを踊る。

クレアの首元で僕の色の石が光る。

最後は君の指先にキスの真似ではなく、そっと口づけた。
僕の右手で君の指をそっと掴んだまま、君を見つめる。

僕のことだけ見てほしいなんて８歳の頃から変わらないけど、より強くなったこの想い。
この先の君の誕生日を一緒に過ごせる存在になりたい。
そんな気持ちを込めて。

君を見つめる……。

< 100 / 187 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop