転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~

執事、ルカでございます。
本日は『特別イベント』開催日でございます。
お店の前にはすでにお客様が…いえ、『お屋敷』の前には『お嬢様』方がたくさんいらっしゃるようです。

お屋敷は落ち着いた白と茶を基調とした内装に、品のある調度品や絵画が飾られており、各テーブルは可愛らしく整えられております。そして、お屋敷の名前であるカラーのお花が本日は特に豪華に所々に飾られております。
天候にも恵まれて初夏の優しい日差しが暖かく、テラス席でも気持ち良くおくつろぎいただけることでしょう。

マナお嬢様のアイデアも加わり、お嬢様方への倒錯の世界がいざ、開かれます。


燕尾服なの?という服を着て、お屋敷のお部屋へ向かう廊下をルイと歩いていた。
窓からチラリとお屋敷(お店)の外を見る。

「ねぇ、ルイ。なんか外にいるお客様…じゃなくお嬢様がいつもより……」

「そうだね。僕達は『麗しの王子様系執事』だからかな?」

「それにしても……」

ルイはそんなに気にしてないみたいだけど、熱気が外からでもすごく伝わってくるような…。

「あ、ジェイク様」

扉を開けると紅茶のメニューを見ていた『インテリジェント系執事』、ジェイク様に声をかける。
おおっ!燕尾服で制服より大人っぽくなっている。
もはや15歳には見えない。
ジェイク様が振り向いて僕達を見る。

「とてもお似合いですね、おふたりとも」

「ジェイク様こそ。すでに貫禄が……」

「そうですか?」

僕は紅茶のメニューを覗き込む。

「そんなに気にしてなかったんだけど、紅茶の種類っていっぱいあるんだね」

「ええ。産地も様々ですよ」

「僕は紅茶も好きだけど、普段は緑茶が多いかな」

「ッ!!リョクチャですか!……さすがクスフォード侯爵家ですね。高級茶葉リョクチャを常用しているとは……」

お茶マニアの眼鏡がキラリと反射した。

「え?緑茶だよ」

「この国ではまだ貴重な茶葉、リョクチャのことですよね?」

「……え?そうなの?」

玲お兄ちゃんにいつも貰ってたんだけど……。

「普段ではとても…」

「ル、ルイ……僕達今日も朝から…の、飲んで……」

おかわりまでしてしまったよー!!
サァーッと青くなる。

「朝からですか!」

ジェイク様の眼鏡がまた光った!

「大丈夫だよ。玲お兄ちゃんのストライブ侯爵家とクスフォード侯爵家とで、きちんと手続きして購入しているから。玲お兄ちゃんにはお礼もしているよ」

「そ、そうなんだ!前の(前世)感覚で飲んでしまってたよ……。そういえば、玲お兄ちゃんと再会するまでは僕達だって飲んでなかったもんね」

冷や汗が出てきた!

「それに、僕達も公演会で演奏してクスフォード侯爵家の仕事をしているでしょ?」

収入はあるから大丈夫ってことだよね…。
フゥと胸に手を添えて落ち着こうとしていると、ガチャリと部屋の扉が開いた。



*フラワード王国では『リョクチャ』にしました。




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