転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～
数日後に行われた音楽団の公演会は無事に終了し、お客様には好評だったようでホッとした。
アスター先生はアリストロ伯爵家と一緒に客席にいて、笑顔でクレアの隣に座っていた。
クレアの顔に近づいて話もしている。
それを見てまた心を乱されたが、右手を左手で包み込み落ち着かせた。

その日は関係者の人達への対応でクレアとは話ができなかったが、先日学園で放課後に会ったご令嬢が関係者の家族と一緒にいたので、移動して少しだけふたりで話をした。

そのご令嬢は頬を染めて可愛いらしいことを言い、僕も思わず笑顔になった。

「では、また」

挨拶をしてご令嬢と別れると、ルイが壁に腕を組んで寄りかかり待っていた。

「ルカ、あのご令嬢の話はなんだったの？」

「それは……また今度話をするね」

「……そうか」



そして、王都のギャラリーには僕ひとりで行った。
やはりレオ・アスターという人は人気の画家のようで、かなりの来場者だった。学園の生徒も見かける。

アスター先生の作品は風景画が多い。
たまに人物画もあるけど、メインが風景だ。

クレアは風景画を好む。
それはアスター先生が関係していたのか。
また嫌な嫉妬が湧き出そうで頭を振る。

綺麗な絵だな。
そして、なんだか懐かしい気持ちにもなる。
それが画家レオ・アスターの魅力なのだろうか…。

ぼんやりと絵を見ていたら、うしろから声を掛けられてその人を見る。

「やぁ、やっと来てくれたんだね。ちょうど会えて良かったよ」

「アスター先生」

「待っていたよ。ルカ様」

アスター先生は優雅に微笑んだ。



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