転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~

王都から馬車で約半日ほどで、クスフォード侯爵家の領地へたどり着く。
前世の頃のように車があれば1日で往復できる距離だけど、このゆったりとした馬車の旅も楽しい。
王都中心部の街並みから自然豊かな景色へと変わっていく。

ここは王都に比べて夏は涼しく過ごせて、大きな湖もあり避暑地としても人気だ。この季節は特に遠方からも人が集まり、観光事業にも力を入れている。
土産物や飲食店が建ち並ぶ大きな通りや、ホテルや別荘地等もある。

観光のメイン通りを抜けて、畑が連なるのどかな道を馬車で走っていると、久し振りに会う懐かしい人達に声を掛けられた。

「あっ!領主様ご一家だ!」

「ルイ様とルカ様がいらっしゃるわ!」

畑仕事をしている手を止めて皆が僕達の馬車の近くまで来てくれた。

「こんにちは。お久し振りです」

ルイと馬車を降りて挨拶をする。

「毎日暑いですね。体調は大丈夫ですか?」

「ルイ様!ルカ様!ありがとうございます。休み休みやっていますよ。しかし、おふたり共にまた背が高くなって!」

「本当に!領主様に似て男前になってきたねぇ!」

「あんな小さかったのによぉ!」

なんだか前世だったら親戚の人達に久し振りに会った時みたいだよね。

「フフフッ。もう、いつも同じことを言ってますよ」

小さな頃から可愛がってもらっていたから、気さくに声を掛けてくれるのは嬉しいな。

「あとでおふたりの好物のフルーツをお届けしますね」

「ありがとうございます」
「嬉しいな」

皆の優しさや、夏のどこまでも高い青空とこの土地の涼しい風が気持ちを楽にしてくれた。
最近はアスター先生のことがあって、焦って力が入り過ぎていたから。

「風が気持ちいいね、ルイ」

穏やかな笑顔でルイを見る。

「そうだな…」

そんな僕を見てルイも笑ってくれた。



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