転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
その頃王都では……。
『お聞きになりまして?』
『ええ。ルカ様の……』
『クレア様は画家のレオ・アスター様とご婚約されると聞きましたわ』
『ルカ様は新しいお相手と仲睦まじくお話をされていたとか…』
「どういうこと?」
「いや…僕に聞かれても」
不機嫌そうな顔をしながらも、デザートを食べる手は止めないマリアンヌ・カルセオラ様。
「やっぱり抹茶ババロアは美味しいわね」
「そう…」
ここは僕のお兄様、レイお兄様のお店『カンミドコロ イチオシドウ』だ。
『カンミドコロ』聞いたこともない言葉。
以前お兄様にどういう意味か聞くと、「甘いデザートを食べる所だよ」と教えてくれた。
レイお兄様は昔から不思議な言葉を使ったり、見たこともないデザートを作ったりしていた。
そして、頭も良くお父様も感心する経営方針を導き出したりもするらしい。
ストライブ侯爵家はさらなる発展を遂げている。
そして、お兄様の妻であるメリアお姉様も同じ不思議な言葉を使う。
僕が7歳の頃に初めて会ったメリアお姉様。
レイお兄様と恋人から夫婦になり、そして子供も生まれた。
息子が生まれ、レイお兄様は愛する妻と子供の元へと急いで帰る日々だ。
僕もこの夏はできるだけストライブ侯爵家の手伝いをしている。
仕事の件でこの店に立ち寄ったところ、店内にいたカルセオラ様に捕まった。
そして、今広がりつつある噂の話を聞かされている。
「琉翔と噂になっているご令嬢って?」
「さぁ?でもクスフォード家の楽団の公演会で親密そうにしていたって話はいろんなところで聞くけど」
「はぁ!? そんなワケないじゃない!」
「音楽関係者が多く集まっていたところだったらしいからね。そのご令嬢も音楽関係者の貴族なら、音楽のクスフォード侯爵家であるルカ様の婚約者としては可能性があると思われたんじゃないの?」
「琉翔はクレア様一筋なのよ!」
「天然無自覚王子様だからね」
「まったく、昔から本当にモテるんだから!やっぱり元アイドルね!」
……『あいどる』?
カルセオラ様や噂のルカ様も『やばっ』『まじで』と時々不思議な言葉を使う。
そしてルカ様の双子のルイ様、この3人はレイお兄様のことを『レイお兄ちゃん』と呼び、馴れ馴れしい。
「そんな噂なんか蹴散らしてやるわ!抹茶ババロアもうひとつお願い!」
店員に注文するカルセオラ様。
「よく食べるね」
「美味しいわよ。食べる?」
ババロアをスプーンで掬って僕に近づける。
「いらない。苦くない?それ」
「そんなに嫌そうな顔しなくていいじゃない。天使の笑顔のノア様って言われてるのに、私達には何でそんな態度なの?」
僕には少し苦く感じるそのデザートを、ブツブツ言いながらもまた完食したカルセオラ様。
「まぁ、思ってたよりも元気そうで良かったわ」
「……余計なお世話だよ」
「さて、これから一仕事あるのよ!じゃあね」
ガラリと扉を開けて店を出るカルセオラ様をチラリと見送った。
『お聞きになりまして?』
『ええ。ルカ様の……』
『クレア様は画家のレオ・アスター様とご婚約されると聞きましたわ』
『ルカ様は新しいお相手と仲睦まじくお話をされていたとか…』
「どういうこと?」
「いや…僕に聞かれても」
不機嫌そうな顔をしながらも、デザートを食べる手は止めないマリアンヌ・カルセオラ様。
「やっぱり抹茶ババロアは美味しいわね」
「そう…」
ここは僕のお兄様、レイお兄様のお店『カンミドコロ イチオシドウ』だ。
『カンミドコロ』聞いたこともない言葉。
以前お兄様にどういう意味か聞くと、「甘いデザートを食べる所だよ」と教えてくれた。
レイお兄様は昔から不思議な言葉を使ったり、見たこともないデザートを作ったりしていた。
そして、頭も良くお父様も感心する経営方針を導き出したりもするらしい。
ストライブ侯爵家はさらなる発展を遂げている。
そして、お兄様の妻であるメリアお姉様も同じ不思議な言葉を使う。
僕が7歳の頃に初めて会ったメリアお姉様。
レイお兄様と恋人から夫婦になり、そして子供も生まれた。
息子が生まれ、レイお兄様は愛する妻と子供の元へと急いで帰る日々だ。
僕もこの夏はできるだけストライブ侯爵家の手伝いをしている。
仕事の件でこの店に立ち寄ったところ、店内にいたカルセオラ様に捕まった。
そして、今広がりつつある噂の話を聞かされている。
「琉翔と噂になっているご令嬢って?」
「さぁ?でもクスフォード家の楽団の公演会で親密そうにしていたって話はいろんなところで聞くけど」
「はぁ!? そんなワケないじゃない!」
「音楽関係者が多く集まっていたところだったらしいからね。そのご令嬢も音楽関係者の貴族なら、音楽のクスフォード侯爵家であるルカ様の婚約者としては可能性があると思われたんじゃないの?」
「琉翔はクレア様一筋なのよ!」
「天然無自覚王子様だからね」
「まったく、昔から本当にモテるんだから!やっぱり元アイドルね!」
……『あいどる』?
カルセオラ様や噂のルカ様も『やばっ』『まじで』と時々不思議な言葉を使う。
そしてルカ様の双子のルイ様、この3人はレイお兄様のことを『レイお兄ちゃん』と呼び、馴れ馴れしい。
「そんな噂なんか蹴散らしてやるわ!抹茶ババロアもうひとつお願い!」
店員に注文するカルセオラ様。
「よく食べるね」
「美味しいわよ。食べる?」
ババロアをスプーンで掬って僕に近づける。
「いらない。苦くない?それ」
「そんなに嫌そうな顔しなくていいじゃない。天使の笑顔のノア様って言われてるのに、私達には何でそんな態度なの?」
僕には少し苦く感じるそのデザートを、ブツブツ言いながらもまた完食したカルセオラ様。
「まぁ、思ってたよりも元気そうで良かったわ」
「……余計なお世話だよ」
「さて、これから一仕事あるのよ!じゃあね」
ガラリと扉を開けて店を出るカルセオラ様をチラリと見送った。