転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
「もう少しです、しっかりなさってください!」

「う、うぅ……」

50歳くらいの年齢の男性に声を掛ける。
馬車は病院へと到着し男性をチャーリーと一緒に運び、緊急で診てもらえるように手続きをした。

「おひとりで外を歩かれるような方には見えませんね」

「そうだね」

診察室のベッドに横になっている男性を見る。
上質なスーツを着ていて、身なりが立派な人だ。
誰かお付きの人がいても不思議ではなさそうなのに。

「あとは私がこちらの男性に付き添いますので、どうかルカ様はクレア様の元へ!」

「ありがとう。あとはお願い!」

男性の無事を祈りながら病院を出た。


夕暮れに染まり始めた王都の街をただひたすらに目的地へと急ぐ!
そして、やっと王都の公園までたどり着いた。

「はぁ、はぁ……」

息を切らして走りながらクレアを探す。
この時間の公園に本当にいるのだろうか?

「クレア!!」

どこだ!?
辺りを見回しても姿が見えない!

「クレアッ!!」

もうこの公園にはいないのだろうか……。

いや、まだ全部探していない!
この広い公園でクレアが行きそうな場所?
前にデートした時に行った、この公園の特別な花が咲いているところか!?

「ッ!!」

いた!!

「クレアッ!!」

名前を呼ばれたクレアが振り向く。
僕を見て驚いた顔をしたあとに、顔を背けて走り出した!

「ッ! 待って!!」

クレアに追いつき、力いっぱい抱きしめた!!

「やっと…やっと会えた…!」

僕は小さなクレアを腕の中に包み込んだ。


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