転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~

「失礼いたします」

クラス発表の内容が決まったところに、紳士バージョンの澪音が教室に入って来た。
学園ではスーツ姿のままでいくそうだ。
貴族との繋がりもあるので、仕事としてはこの格好の方がやりやすいようだ。

サラリと靡く綺麗な金色の髪はうしろでひとつに結び、薄いブルーのスーツが瞳の色と合っている。
華やかで優雅な佇まいの画家レオ・アスター紳士バージョン。
普段のロックファッションと違いすぎるんだけど、疲れないのかな?

「アスター先生、どうされましたか?」

ジェイク様が突然現れたアスター先生に驚いている。
そりゃそうだ。どうしたんだろう、澪音は。

「ちょうどお話が聞こえてしまいまして。音楽祭の発表はルイ様とルカ様のピアノ演奏ではなく、歌とダンスを披露されるとか?でしたら私にもぜひ、協力させていただきたいと思いましてね」

ニコリと微笑んで僕達を見る。

「それはとてもありがたいことですが、どのような…?アスター先生がご協力してくださるということは、絵で何かをと?」

困惑しているジェイク様。

「いいえ。ピアノで、です」

澪音はニコリと微笑んでジェイク様を見る。

「え!? ピアノですか!?」

画家なのに絵ではなく、ピアノでとさらに驚く。
それはジェイク様のみならず、クラスの皆も同じだ。

「ここで『クスフォードツインズ』の曲を弾けるのは、このおふたり以外には私しかいないということですよ」

あ、言っちゃうんだ、それ。

「アスター先生ッ!!まさか!?」

すかさず反応するフラン様が紙に何かを書き始めた。

「この曲を弾けますか!?」

さっき書いていた紙を澪音に見せて質問している。

「ええ。おふたりの『デビュー曲』ですよね」

『私も同じですよ』という瞳をして頷いている。

「な、なんてことッ!? 先生!ぜひ、お願いします!!」

「もちろんです。良いステージにしましょう」

フラン様と澪音とで勝手に決まってしまったけど、澪音がピアノを弾いてくれることになった。




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