転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～
クレアとシェイラは図書室で待っていてくれているのでルイと迎えに行く。

学園の図書室はたくさんの本を種類豊富に取り揃えてあり、利用している生徒が多い。
クレアもよく図書室で本を借りている。

「あ、シェイラいた」

ルイがシェイラを見つけて隣の席に座った。
でもシェイラは真剣に本を読んでいて気づいていない。
たぶん植物の本を読んでいるんだな。
気づいてもらえなくても、頬杖をついてニコニコしながらシェイラを見つめている。
距離が近い…。
図書室でもいつも通りなんだね、ルイ。

僕はクレアを探しに図書室の並んである本棚へと向かう。

「きゃっ！」

あ、ルイに気づいたようだ。
うしろの方からシェイラの驚いた声が聞こえてきた…。

本棚の前にいるクレアを見つけ、声を掛けようとしたけどやめた。
クレアは本を手にしたまま、ぼんやりと見つめているだけ。
最近はこんな風にしていることが多い。

……きっと、留学のことを考えているんだね。

僕はしばらく本棚の影の壁に寄り掛かっていた。

「……ルカ」

ポツリとクレアが僕の名前を呟く。
僕と離れることがクレアの負担になっているのだろうか。

前世のような交通機関がないこの世界では、隣国までというと馬車で何日もかけて行くことになり、かなり遠い。
今までのようにすぐに会えるわけでは当然なくなる。

「……クレア、お待たせ」

クレアの近くまで歩いて声を掛けると、ハッと本を持って俯いていたクレアが顔を上げた。

「あ、ルカ。もう終わったの？」

「うん。待たせてごめんね」

「本を選んでいたから大丈夫よ」

この辺りは隣国の本が並んでいる。

「……僕はクレアの好きなことは応援したいと思っているからね」

「ルカ…」

泣きそうになってしまった愛しい君を、僕はそっと抱きしめた。


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