転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
「ルイ様、衣装はどうかな? 最終的な修正はこれで平気そう?」

「ああ、大丈夫だよ。動きやすくなった。流石舞台衣装を製作しているところだね。それに、ヘンリー様のおかげでかなり豪華な衣装になったしね。ステージで映えると思うよ」

ルイが鏡を見ながら頷いている。

「注文の仕方や手直しの目の付け所がプロみたいだって感心してたよ」

「琉生は現役時代から衣装にもこだわってたからなぁ」

「アスター先生もお似合いだね。でもそんな真っ黒でいいの?」

「俺はこれでいいんだよ。派手なものはあいつらの方が似合うしな。でも俺のジャケットにも黒い石を縫い込んでもらってるからかなり豪華だぜ」

黒で統一した衣装だけど、黒いハットを被り丈の長いロングコートのようなジャケットをベルトでお洒落に留めていて、動くたびに縫い込んでいる小さな石が綺麗に見える。
そして、シルバーのネックレス、細身の黒いパンツにブーツ。
まさにロックミュージシャン澪音のスタイルだ。
学園での優美なレオ・アスターの服装とはまったく違う。

「おまえら、あれを弾いてくれ!」

「本当に最近よくリクエストするね、あの曲を」

ルイが首を傾げている。

「しかもピアノじゃなくてヴァイオリンでね」

あとで聴きたいからと言われてヴァイオリンをレッスン室に持ってきていた。

「それに歌の方もいろいろリクエストするよね」

不思議に思いながらヴァイオリンを取りに行く。

「いい曲はいつも聴きたいもんだろ?ヘンリー様も聴きたいよな」

「王子様達のヴァイオリン!聴きたい!」

僕達は衣装を着たままヴァイオリンを構えて並び、リクエスト曲を弾き始めた。

僕達の大切な曲。
想いを込めてヴァイオリンを弾き、綺麗な音色が拡がる。

「……こ、これは!ヤバいですね、先生」

「だろ?しかも『ヤバい』って!真璃愛と琉翔が言ってんのがうつったのか?クックッ」

「マリアンヌ様は特によく言っていますからね。意味も分かりますよ」

「フッ!そうか」

「これも聴いたことがない曲です。ルイ様とルカ様が作曲されたのでしょうか?」

「ああ、そうだ。そして、あいつらが大切にしている曲だ」

「そうなんですね。おふたり共にとてもいい顔をしていますね…」

聴いているふたりも自然と優しい眼差しで微笑んでいた。

「じゃあ、あとは頼んだぞ」

「はい。ジェイク様にも伝えておきます」

「ところでクラスの方の準備は進んでるのか?」

「フラン様が張り切ってますよ。皆も楽しんで作業してます」

「いよいよだな。俺も久々のステージだ。腕が鳴るぜ!」

本番の日が近づく!
準備も大詰めだ!


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