転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～

会場である講堂Ｃはダンスパーティー用に造られており、高い天井には煌びやかなシャンデリアや広いフロアには豪華な花が飾られていた。

「あ、来た！ルイ様、ルカ様！」

「皆、昨日はありがとう。大丈夫だったの？」

「大丈夫だよ！ジェイク様の氷の瞳での『もう帰りましたよ』の一言や、フラン様の説得のおかげでね」

「私はただ事実を述べただけですが、フラン様が彼女達の心を動かしたのだと思いますよ」

「『ツインズ』のファンの掟を教えてあげたわ！ふたりが悲しむようなことはしないでってね！それがあの世界での『ツインズ』の子猫ちゃんの掟なのよ！！あと、出待ちのルールもね！」

「そうだったんだ…。ありがとう」

「いやぁ、すごかったね。でも気持ちは分かるよ！格好良かったもんね、ふたり共！僕もファンになっちゃったよ！」

ヘンリー様はまだ興奮気味に発表会の感想を伝えてくれる。

「昨日は大変だったみたいね」

「真璃愛」

振り向くと華やかなドレスを纏った真璃愛とノア様がいた。

「『ツインズ』のあとのステージは私だったのよ。ざわめきが続いていたけど、私の歌で黙らせてやったわ！以前(前世)でも共演したことのある私でないと、できなかったでしょうね」

得意気な顔をしている真璃愛。

「そうそう！マリアンヌ様のオペラも会場の皆が聴き入ってたよ！ね、ノア様！」

「あ、ああ」

「ノア様も演奏しながら聴き惚れてたんじゃない？」

「……はぁ？ 何言ってんの？ じゃあ僕はもう行くね」

スタスタと歩いて行ってしまったノア様。
少し耳が赤いような…？

皆で話をしていたら音楽が流れ始めた！
学園の皆が楽しみにしていたダンスパーティー。
次々に正装をした笑顔の生徒達がフロアに集まりだした。

「あ、始まったね。じゃあ僕も生徒会の仕事を頑張っている恋人を迎えに行ってくるよ！」

手を振ってヘンリー様は会場の奥へと向かう。
ジェイク様は音楽祭実行委員の人達と集合するようだ。
フラン様と真璃愛はまだ話をしている。

「僕達も行こう」

ルイとシェイラは手を取り合ってダンスフロアに向かった。

そして、僕はクレアにいつものように…。

「僕と踊っていただけますか？」

お辞儀をして微笑む。

「…はい」

はにかみながら僕に手を差し出してくれるクレア。
そっと手を握り、僕達もダンスフロアへと歩き出した。