転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
3
「この公園で小さな頃に?」
僕は記憶を巡らせて思い出そうとするけど分からない。
この公園には小さな頃から何度も来ているのに。
「やっぱり覚えていないのね。アリストロ家がまだ王都に引越す前、用事があって王都に来たことがあるの。その時はラーク様とサフィア様は楽団の公演があって王都にはいらっしゃらなかったらしいの。だからクスフォード家には行かなかったみたいね」
「何歳の頃?」
「4、5歳の頃よ」
「僕が前世の記憶を思い出したのが5歳の誕生日…。その頃はよく眠っていたらしいんだ。たぶん前世の膨大な記憶を思い出すことで小さな体に負担が掛かっていたんだと思う。その頃のことを覚えていないことがあるんだ」
「そうだったの…。確かに初めて会った時のルカはこのベンチに座ってウトウト眠っていたわ」
「え、僕は眠っていたの?」
「フフッ。そうよ。私とお姉様はここのお花を見に来ていてね、お姉様はお花に夢中だったけど、私は公園をお散歩していたわ。そうしたら綺麗な男の子がここでウトウトしていたの。私が近くに行くとパチッと目を開いて起きたのよ」
「そうなんだ…」
「短い時間だったけど、私とその男の子はここで少し遊んだの。歌も歌ってくれたわ。その時に聴いた歌は発表会で最後に歌っていたわ。綺麗な歌声だったから少しだけど覚えているのよ」
「僕はあの曲を歌っていたんだね」
「それで、私がダンスが苦手だと話をしたら『ダンスは楽しいよ!僕と踊ろう』ってその男の子が言ったの」
「ダンスを?」
「そう。『僕と踊っていただけますか?』とお辞儀をしてくれたの。そして、最後にはホクロがある右手で私の手をそっと握ってキスをしてくれたのよ。そのあとに『僕のお姫様』って言ってくれたわ」
「ええ!?」
小さな頃の僕!キスしてた!!
「その頃に読んでいた私の好きな本の王子様がお姫様の手にキスをして『私のお姫様』と言っていたの。だから私は『王子様に会ったのよ!』ってレオによく言っていたのよ」
「澪音に…」
だから避暑地でのクスフォード家で澪音に『思い出したのかよ』って言われたんだ。
「お互いに名前も知らないまま遊んでいたから、その男の子の名前は分からなかったけど、王都に引越して来てルカに会った時に、あの時の男の子だって分かったのよ。綺麗な男の子で、髪色や瞳の色も同じ、そして手の甲にホクロがあるあの人だって」
「そうだったんだ…」
「私の大切な想い出で、私の初恋よ」
恥ずかしそうに教えてくれるクレア。
僕はそんなクレアをギュッと抱きしめた。
僕は記憶を巡らせて思い出そうとするけど分からない。
この公園には小さな頃から何度も来ているのに。
「やっぱり覚えていないのね。アリストロ家がまだ王都に引越す前、用事があって王都に来たことがあるの。その時はラーク様とサフィア様は楽団の公演があって王都にはいらっしゃらなかったらしいの。だからクスフォード家には行かなかったみたいね」
「何歳の頃?」
「4、5歳の頃よ」
「僕が前世の記憶を思い出したのが5歳の誕生日…。その頃はよく眠っていたらしいんだ。たぶん前世の膨大な記憶を思い出すことで小さな体に負担が掛かっていたんだと思う。その頃のことを覚えていないことがあるんだ」
「そうだったの…。確かに初めて会った時のルカはこのベンチに座ってウトウト眠っていたわ」
「え、僕は眠っていたの?」
「フフッ。そうよ。私とお姉様はここのお花を見に来ていてね、お姉様はお花に夢中だったけど、私は公園をお散歩していたわ。そうしたら綺麗な男の子がここでウトウトしていたの。私が近くに行くとパチッと目を開いて起きたのよ」
「そうなんだ…」
「短い時間だったけど、私とその男の子はここで少し遊んだの。歌も歌ってくれたわ。その時に聴いた歌は発表会で最後に歌っていたわ。綺麗な歌声だったから少しだけど覚えているのよ」
「僕はあの曲を歌っていたんだね」
「それで、私がダンスが苦手だと話をしたら『ダンスは楽しいよ!僕と踊ろう』ってその男の子が言ったの」
「ダンスを?」
「そう。『僕と踊っていただけますか?』とお辞儀をしてくれたの。そして、最後にはホクロがある右手で私の手をそっと握ってキスをしてくれたのよ。そのあとに『僕のお姫様』って言ってくれたわ」
「ええ!?」
小さな頃の僕!キスしてた!!
「その頃に読んでいた私の好きな本の王子様がお姫様の手にキスをして『私のお姫様』と言っていたの。だから私は『王子様に会ったのよ!』ってレオによく言っていたのよ」
「澪音に…」
だから避暑地でのクスフォード家で澪音に『思い出したのかよ』って言われたんだ。
「お互いに名前も知らないまま遊んでいたから、その男の子の名前は分からなかったけど、王都に引越して来てルカに会った時に、あの時の男の子だって分かったのよ。綺麗な男の子で、髪色や瞳の色も同じ、そして手の甲にホクロがあるあの人だって」
「そうだったんだ…」
「私の大切な想い出で、私の初恋よ」
恥ずかしそうに教えてくれるクレア。
僕はそんなクレアをギュッと抱きしめた。