転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～

「覚えていなくてごめん。でも小さな頃でも僕は僕なんだなって思うよ。『僕のお姫様』って。フフフッ。今も『僕のクレア』って言っているもんね」

きっと小さな頃の僕もクレアのことがとても可愛いと思っていたんだろうな。

「ええ。だから学園の花の温室と、避暑地で『僕のクレア』と言ってくれた時は嬉しかったわ」

僕達はしばらくクスクスと笑いながら抱きしめ合っていた。
すると、クレアが僕の胸の中から少し離れて僕を見た。
いつもより大人びた意思の強そうな瞳で。

「ルカ、留学のことだけど…」

クレアの瞳で決めたんだなと分かってしまう。

「うん」

優しく微笑んでクレアの頬を撫でる。

「私、隣国で勉強してみたい」

「うん」

「音楽を心から楽しむルカのように、私もなりたいわ。昨日の輝いていたルカを見て、より強く思ったの。離れるのはとても寂しいけど…」

クレアの大きな瞳から涙が零れた。

「…発表会での最後の曲は愛しい人に想いを伝える曲だったんだ」

「あの曲…」

「世界中のどこにいても僕は君のことを想っている」

またクレアの瞳から涙が次々と流れる。

「僕の愛しい人は君だけだよ」

「ルカ…」

「頑張って。クレアの夢を僕も応援するよ」

クレアの頬に手を添えて、僕は微笑む。

「僕のクレア…」

そして、そっとキスをした。