転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～

「僕達も隣国に留学するという手はダメだった」

「僕達はありがたいことに、小さな頃から音楽の勉強はたくさんさせてもらっているからね。隣国の音楽の勉強もね」

「そうなんだよな…。しかも、理由が見え見えだとお父様に言われたよ」

すると、ルイがキッと顔を上げて僕を見た。

「婚約の手続きを早急に済ませる！必要書類は既に準備して記入済みだッ！！」

「早ッ！！」

「当たり前だろ！！ルカが遅すぎなんだよ！！ルカも早く記入しろッ！！」

ルイが机に向かって素早く歩き、引き出しから書類を出してバサリと僕の目の前に置いた。

「婚約の件だったらお父様もすぐに了承するはずだ。僕達はあのお父様の子供なんだし」

「え？あのお父様のってどういうこと？」

「お母様を手に入れる為にあの人がどんな手段を使ってきたかってことだよ」

「ど、どんな？」

「それはお父様に直接聞いて！」

「え？」

「とにかく！シェイラには結婚の約束をしているほどの相手がいると周りの男に分からせなければ！！あー！心配だ！！」

「ル、ルイ、落ち着いて！」

「婚約指輪だ！！アベリア伯爵家のジュエリーショップへ行くぞ！ヘンリー様に予約を頼もう。ルカはクレアの指のサイズをクレアのメイドのモネに聞いておくんだぞ！！」

「分かった！僕もクレアの留学前には婚約の手続きはしておきたいと思っていたんだ。でもクレアに話をしなきゃ…婚約ということはいずれ結婚……クレアのウエディングドレス姿…」

僕はクレアのウエディングドレス姿を想像して少し顔が赤くなった。

「可愛い想像して照れてないで早くしてよね！」

「うっ！わ、分かった！」

「それに、婚約者の立場になれば……」

「なれば…？」

「そのあとはヘンリー様に聞けば教えてくれるよ」

「え？今度はヘンリー様に？」

何で？

「あと、プロのピアニストとして活動の拠点を隣国にする！」

「ええ！？ そんなムチャな！」

婚約手続きの書類を記入したあとは、僕達はお父様の書斎に向かった。