転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
想いを乗せて
1
暖かい春を迎え、クレア達が隣国へ向かう日が近づいてきた。
僕とクレアは本を読んで隣国について詳しく調べたり、クレアが通う学校について話をしたり、あとは王都で何度もデートをした。
最近のクレアは笑顔が少なくなり、時に泣きそうな顔をしている。
不安の方が大きくなってしまっているようだ。
クスフォード家の庭園を一緒に手を繋いで散歩をして、小さな頃のようにクレアの好きな八重咲きの薔薇を髪に飾る。
「クレア、可愛いよ」
クレアの綺麗なオレンジブラウンの髪を撫でて微笑む。
そして、部屋に戻りソファーに座って本を開く。
「僕が隣国へ行ったらさ、ほら、ここへ行ってみない? 海があるんだって。デートしよう」
クレアを抱きしめて、海が綺麗だと観光地になっているところのページを見せる。
「会いに行くから…。クレア、頑張って!」
「ありがとう。少し弱気になってしまったわ。頑張るって決めたのにね…」
そんな日々を過ごして、アリストロ伯爵家一家が隣国へ引越しする日になった。
汽車の切符はマクラナ伯爵からいただいた切符をありがたく使わせてもらった。
僕とルイも隣国へ行く時に使う予定だ。
「クレア、元気で」
「ルカも……」
もう何度目か分からない同じ言葉を繰り返し、クレアの涙を拭う。
僕も泣きそうだ。
ルイもシェイラとずっと一緒にいる。
なかなか離れない2組の恋人達を見て、僕のお父様がアリストロ伯爵を連れ出して少し離れてくれた。
「ジョージ、こちらを見てくれ!この絵は珍しくないか?」
「ええ?それは興味があるね」
お父様、アリストロ伯爵、ありがとう。
「クレア…」
華奢なクレアを強く抱きしめて、涙で濡れた頬に手を添える。
「向こうで待っていて、必ず会いに行くよ!…僕のクレア」
僕も泣きそうな瞳でクレアを見つめて、キスをした。
汽車の汽笛が鳴り響く。
僕とルイはいつまでも駅のホームで小さくなっていく汽車を見送っていた。
クスフォード家に戻り、僕は音楽室へと向かった。
窓を開けると春の暖かで優しい風が入ってきた。
ぼんやりと外の景色を見たあとは、ピアノの椅子に座りゆっくりと弾き始める。
すると、ルイも音楽室へ来て隣のピアノを弾き始めた。
何も言わなくても分かる僕達の音楽を。
今の気持ちを、遠く離れてしまった愛しい人を想って…。
愛しい人にこの音が届くように…。
君に一目惚れをした日からずっと隣にいてくれた。
笑顔を、照れたり、怒ったり、泣いたり、拗ねたりした可愛い顔を。
ふとした時に見せる大人びた顔を…。
いろんな君を想って。
気持ちがあふれる……。
いつまでもふたりでピアノを弾き続けた。
「……これはまた、ふたりの新しい音。なんという、優しく、切ない音色…」
音楽室の扉の前で聴き入っているピアニストのミッシェルと、クスフォード家の執事マシューがいた。
僕とクレアは本を読んで隣国について詳しく調べたり、クレアが通う学校について話をしたり、あとは王都で何度もデートをした。
最近のクレアは笑顔が少なくなり、時に泣きそうな顔をしている。
不安の方が大きくなってしまっているようだ。
クスフォード家の庭園を一緒に手を繋いで散歩をして、小さな頃のようにクレアの好きな八重咲きの薔薇を髪に飾る。
「クレア、可愛いよ」
クレアの綺麗なオレンジブラウンの髪を撫でて微笑む。
そして、部屋に戻りソファーに座って本を開く。
「僕が隣国へ行ったらさ、ほら、ここへ行ってみない? 海があるんだって。デートしよう」
クレアを抱きしめて、海が綺麗だと観光地になっているところのページを見せる。
「会いに行くから…。クレア、頑張って!」
「ありがとう。少し弱気になってしまったわ。頑張るって決めたのにね…」
そんな日々を過ごして、アリストロ伯爵家一家が隣国へ引越しする日になった。
汽車の切符はマクラナ伯爵からいただいた切符をありがたく使わせてもらった。
僕とルイも隣国へ行く時に使う予定だ。
「クレア、元気で」
「ルカも……」
もう何度目か分からない同じ言葉を繰り返し、クレアの涙を拭う。
僕も泣きそうだ。
ルイもシェイラとずっと一緒にいる。
なかなか離れない2組の恋人達を見て、僕のお父様がアリストロ伯爵を連れ出して少し離れてくれた。
「ジョージ、こちらを見てくれ!この絵は珍しくないか?」
「ええ?それは興味があるね」
お父様、アリストロ伯爵、ありがとう。
「クレア…」
華奢なクレアを強く抱きしめて、涙で濡れた頬に手を添える。
「向こうで待っていて、必ず会いに行くよ!…僕のクレア」
僕も泣きそうな瞳でクレアを見つめて、キスをした。
汽車の汽笛が鳴り響く。
僕とルイはいつまでも駅のホームで小さくなっていく汽車を見送っていた。
クスフォード家に戻り、僕は音楽室へと向かった。
窓を開けると春の暖かで優しい風が入ってきた。
ぼんやりと外の景色を見たあとは、ピアノの椅子に座りゆっくりと弾き始める。
すると、ルイも音楽室へ来て隣のピアノを弾き始めた。
何も言わなくても分かる僕達の音楽を。
今の気持ちを、遠く離れてしまった愛しい人を想って…。
愛しい人にこの音が届くように…。
君に一目惚れをした日からずっと隣にいてくれた。
笑顔を、照れたり、怒ったり、泣いたり、拗ねたりした可愛い顔を。
ふとした時に見せる大人びた顔を…。
いろんな君を想って。
気持ちがあふれる……。
いつまでもふたりでピアノを弾き続けた。
「……これはまた、ふたりの新しい音。なんという、優しく、切ない音色…」
音楽室の扉の前で聴き入っているピアニストのミッシェルと、クスフォード家の執事マシューがいた。