転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～

舞台は変わる。

ここはフラワード王国。
花と緑を大切にし自然豊かなところ。
自然豊かな国だが王都には多種多様なお店があり、とても栄えている。
近隣諸国との国交が盛んな国だからだ。


良く晴れた冬の日、王都内にある侯爵家でパーティーが開催されていた。

「お誕生日おめでとう」

「５歳のお誕生日おめでとうございます」

この侯爵家の令息達のお誕生日パーティーだ。
利発で綺麗な顔立ち、そして笑顔が可愛らしいと評判の令息達に招待客がお祝いの言葉を掛ける。

「ありがとうございます！」
「ありがとうございます！」

「まぁ！なんて可愛いのかしら！」

「本当にそっくりね！」

「不思議なダンスだけど、息がピッタリでお上手ですわ」

「ルイ様、ルカ様はとても仲がよろしいわよね」

「はい！僕達はいつも一緒なのです！」

ふたりはニコリと笑い合う。
そんなふたりを微笑ましく見ている家族や招待客達。
本日の主役達は皆の前で挨拶をしようとしていた。

ドキドキするけど緊張はしない。
皆の前でお話するのは楽しい。
ニコニコして僕達を見てくれる人に笑顔を返したい。
なぜかそんな気持ちが以前からあった。

「本日はクスフォード……？」

「僕達が５歳を迎えられた……のは…あれ？」

ルイが途中で言葉を詰まらせルカを見る。
ルカも違和感を感じたようだ。

ふたりの遠い記憶の扉が開く。

遠い昔に同じ事を言っていたような……？
とても広く、眩しい光があり、多くの人の声が聞こえるところで。
僕達が挨拶をしていた……。

ふたりは顔を見合わせたまま驚愕し目を見開く。

「ルカって琉翔！？」

「琉生！？」

目の前のルイがもうひとりの琉生と重なる。
髪色はネイビーブルー、瞳はグレー。
姿はまったく違うが同じ人物だと心が伝えてくる。
今のルイも、そしてもうひとりの琉生も同じだと。

僕達が黙ってしまったので皆がどうしたんだと不思議そうにしている。
僕達の今のお父様が笑顔で優しく声を掛けてくれる。

「ほら、ルイ、ルカしっかりご挨拶しなさい。頑張れ」

お父様の声に僕達はハッとした。
そう、『今の』。
僕達と同じ髪色のと瞳のお父様だ。
僕はお父様を見たあとに、ルイの方を向き震える手をルイに伸ばし、手を繋いだ。
ルイの手も震えていた。

僕達は緊張はしない。
この震えは違うもの。

「本日はクスフォード侯爵家にお集まりくださり、ありがとうございました！」

ルイが明るく声を出す。

「僕達が５歳を迎えられたのは、いつも僕達に優しくしてくださる皆様のおかげです！」

僕もあの頃の笑顔で明るく声を出す。

わぁっ！と拍手が沸き起こり、僕達の笑顔で家族や招待客、屋敷の人達まで笑顔になった。

そのあとは僕達がピアノを演奏する予定になっていた。
なんとか指の震えを抑えるように深呼吸する。

「まぁ！流石芸術を愛すると言われているクスフォード侯爵家のご子息様ね」

「お上手ですわ！」

そして無事に誕生日パーティーは終了した。

そのあとふたり一緒に手を繋いでソファーにもたれて寝てしまった。

「あら、疲れちゃったのね。お部屋に連れて行きましょう」

お母様はクスリと微笑み、愛しい双子達の頬を優しく撫でた。