転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
恋の音色

音楽を好むクスフォード侯爵家には、いろいろな楽器が揃えられていて、中には年代物の楽器も立派な棚にコレクションされている。
僕はよく音楽室に来ていて、今日も作曲をしながら弾いていた。

サァッと窓から初夏の心地いい風が届く。
木々や花がそれぞれの色を纏い、楽しそうに揺れていて、鳥達も歌いながら飛んでいる。
…いいお天気だなぁ。

「切ない音色ですね」

「あ、ミッシェル先生」

「これまでのルカ様の音とは少し違うね」

クスリと微笑みながら近づいてきたのは、クスフォード侯爵家の音楽団でも活躍している音楽家のミッシェル・カランカ様だ。
僕達のピアノの先生でもある。

「……そうですか?」

僕は少し俯きながら返事をした。

「それに作曲の才能も素晴らしいものがある。流石、代々芸術を愛するクスフォード侯爵家のご子息だ」

「いや、そんな……」

確かに今の曲は僕が作ったけど、前世の音楽の影響も大きい。
前世でもピアノを習っていたし。

「今日はお父様とお仕事のお話ですか?」

ピアノのレッスンは明後日のはずだ。

「そうです。今度の演奏会の件でね。……何かあったならいつでも相談してくださいね。君達は私の弟のようにも思っているからね」

「はい…」

「ではまたレッスンの時に」

僕が書いていた楽譜を見ていたミッシェル先生は、楽譜を僕に戻して音楽室を出て行った。

「あの年齢だからこそ奏でられる音かな?」

ミッシェルは銀色の長い髪をなびかせながら歩き、呟いた。

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