転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～
ガラリと扉を横にスライドして開ける懐かしい音がする。

「いらっしゃいませ！」

着物風のドレスを着て、薄紫色の髪をした女性が声を掛けてくれた。
手に持っているのはトレーに乗せている大福だ。
お菓子のショーケースに並べようとしているらしい。

店内でも『和』を感じる花や小物がディスプレイがされている。
季節も今は１月。
日本の年明けを連想させるような商品も置いてある。

本当に帰ってきたみたいだ……。
泣きそうになってくる。

「あ、あの、このお店は……」

まず、何をどう聞けばおかしく思われないかと考える。
目の前の女性は和風のドレスを着てはいるが、やはり見た目はこの世界の人だ。
僕達もそうだけど…。

ルイは店内を見回してから店員の女性にある人物がいないか確認しようとした。

「あの、こちらのイチオシ堂はストライブ侯爵家が経営されていると聞いたのですが……」

店員の女性が目を丸くした。

「え？」

その時、店の奥からひとりの男性がお団子を乗せたトレーを持って店員の女性に声を掛けた。

「メリィ。こちらもできたよ……っとお客様でしたか、失礼いたしました。いらっしゃいませ」

和風の作業着を着た若い男性がニコリと笑う。

僕達は感情が抑えきれずにボロボロと泣いてしまった。
もう二度と戻れない遠い故郷に帰ってきたみたいで。
そして懐かしいあの人がいたような気がして……。

「ええ！？」

店員さん達は目を丸くして驚いていた。


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