転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～

「お返事をいただいてから、すぐに来てしまいました。本当に懐かしいですわ」

目の前にいる少女は前世の頃とは顔も髪色もまったく違うが、あれは『真璃愛』だ。
僕はサッとルイのうしろに隠れた。

「あら、フフフ。ルカ様どうされましたか？」

今世では何をするつもり！？

「ルカ、どうしたの？」

「い、いえ。何でも…」

お母様が不思議そうに僕を見てから、真璃愛をお茶の席に勧めた。

「カルセオラ伯爵といえば、オペラの公演会が有名ですわね」

「はい。我が家が代々、力を入れている分野です。クスフォード侯爵家は芸術を愛すると言われておりますから、共通点がありますね。オペラは総合芸術ですもの」

オペラ？

「ええ。夫もオペラの壮大な世界観も素晴らしいといつも言っていますわ。私もそう思います」

「有名なヴァイオリニストでもあるサフィア様にお会いでき、そしてオペラの話ができるなんて夢のようですわ！」

真璃愛は少し興奮気味にお母様と話をしている。
そう、お母様はヴァイオリニストとして活躍していた。
ピアニストであるお父様は、そのヴァイオリンの音色とお母様の美しさに一目惚れしたそうだ。
お母様のファンは多く、今もたまに演奏会に出演する時はお客様が多くなる程だ。

「今は歌劇場カルセオラ座が建設中でしたわね」

「はい。もうすぐ完成予定です。たくさんのお客様にオペラを見ていただきたいと思っています。そこで、幼馴染みであるルイ様とルカ様にお話があります」

「僕達にどんなお話でしょう？」

頼もしい兄が聞いてくれる。

「カルセオラ伯爵家の公演会に出てほしいのです」

「オペラの？どうして？」

「今回は我が家と専属契約しているオペラ歌手数名が順番に歌う公演なのです。もうすぐ完成予定のカルセオラ座の宣伝も兼ねてね」

「…なるほど」

「え？ どういうこと？」

「音楽の繋がりの多いクスフォード侯爵家、そして音楽の才能もあり、その美しさで噂のふたりが出演となればさらにお客様が増えることでしょう」

「お客様を増やす？」

「私はオペラ歌手を目指しているわ！もっと若い世代にもオペラを広める為に、私も出演することになったの。だからふたりと共演したいのよ！」

強い目力で僕達を見て熱弁する真璃愛。
今世でも歌が好きなんだな。