転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～

「そうですか。お話は分かりました。ではあとは３人で話をしなさい」

お母様は優しく微笑んでから部屋を出て行った。
貴族令嬢と密室にいる訳にはいかないので、ドアは少し開いたままで、すぐ外にメイドが控えている。

「ねぇ！お願い！私と琉生と琉翔の仲じゃん！！私の出番の時だけでいいから！！」

「もう素が出てるぞ」

「……やっぱり『真璃愛』なんだ」

「そうよ！琉生！琉翔！久しぶりに会えて嬉しいわ！でもまだ説明してなかったのによく分かったわね」

「まあな。で、いつ思い出したんだ？」

「最近よ。とても混乱したわ。でも音楽が身近にある生活だったから落ち着くことができたわ。琉生と琉翔の話は詳しく聞けば聞く程ふたりで間違いないって思ったのよ。『クスフォード』はユニット名だったし！」

コンコン！

「失礼いたします。マリアンヌお嬢様…」

少し開いていたドアを叩き、真璃愛付きのメイドが声を掛けた。
どうやら雨が少し降り始めてきたらしい。
本格的に降り出す前に帰宅するようだ。

「また今度来るわ！そうね、明後日に！私の歌も聴いてほしいし。ふたりのピアノも聴きたいわ！」

強引に約束をして帰った久しぶりに会う幼馴染みは全く変わっていなかった。
僕の心は窓の外のように落ち着かなかった。