転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～

「今日はオペラの公演会の話だろ？」

呆れた顔をしたルイが話を促した。

「おや、楽しそうな話ですね。ご一緒してもよろしいですか？」

音楽団にいるミッシェル先生は音楽の話は興味があるみたい。

「もちろんです！！あ、でもレッスンが終わってからで…」

普段遠慮なんてしないのにそんなことを言う真璃愛。

「今日のレッスンはちょうど終わったところですよ」

大人の魅力たっぷりの微笑みを受けて、真璃愛はもうミッシェル先生しか見えていない。
嬉しそうにミッシェル先生に近づき今回の話を説明した。

「なるほど。オペラファンだけではなく、人を呼んでもっと広めようということですね。そしてカルセオラ座の宣伝もすると」

「…は、はい。笑顔が素敵…銀髪が綺麗…」

ミッシェル先生格好いいもんね。

「僕達はまだ返事をしてないんだけど？」

ポーッとしている真璃愛を現実に戻すルイ。

「ええ！？ 協力してよ！」

「オペラはオーケストラでしょ？僕達はピアノだし」

「ピアノ伴奏だってあるわよ！もう！じゃあ私の歌を聴いてから判断して！曲はこれよ」

バサリと楽譜を渡された。

『フラワード王国の春』

「この国のオペラの有名な曲です。美しい春の情景を描いた曲で、この季節にもぴったりですね」

ミッシェル先生が教えてくれた。
なんて話をしていたら真璃愛の準備ができたようだ。

キリッと目を開き、体の底から声が沸き上がるような綺麗なソプラノで歌い始めた。
力強く、優しく、体全体で春の美しさを表現をする。
マイクも使わずこの声量！
すごい！！

「……素晴らしい！」

ミッシェル先生が拍手をする。
僕とルイは顔を見合わせてため息をついた。

「で？公演会はいつなの？」

「やったわ！琉生、ありがとう！１ヶ月後よ」

真璃愛はバッと腕を広げてルイに抱きつこうとしてからピタリと止まり、僕の方を向いてニヤリと笑ってからギュッと僕に抱きついた！

「琉翔ー！」

「ち、ちょっと！真璃愛っ！」

「ありがとう！」

まだニヤニヤしてる！
もう！久しぶりだからって僕で遊んでるんだな！
前世の頃もよく抱きついてきてたし！

「真璃愛っ！！」

真璃愛はしばらく離れてくれなかった。