転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
「あ、クレア!ここにいたんだね」

ルカ!

「ルカ…どこにいたの?」

私は俯いたまま少しの可能性を考えて聞いてみた。
抱きしめられていたのはルイで、その時にルカはいなかったかもしれないじゃない。

「え?音楽室にいたよ。今日はピアノのレッスンの日だったんだ」

「……ミッシェル先生の他にも誰かいたの?」

「あー、昔の知り合いが来ていたんだ」

「昔の?」

「そ、そう。今度その人の公演会に出演することになってね。その件で来ていたんだ」

やっぱり音楽関係の人。

「すごく親しそうだったけど…」

「いや、ただの昔の知り合いだよ!懐かしいからってね」

「懐かしいとあんな風に抱きしめるの?」

とても楽しそうだったわ。

「うーん、ちょっと表現が大げさな人なんだよね。僕だけじゃなくて、ルイにだってあんな感じだよ」

ルイにも?

「え!? そうなの?」

ルカを見ると少し困った風な顔をしていた。

「昔から僕達に対してあんな感じの友達だよ」

友達!!

「……そうなんだ」

「クレアはどうしてレッスン室にいたの?」

「あ……またダンスを教えてほしいなって思っていたら、ここに来ていたの」

前からそう思っていたから、ここに足が向いてしまった。

「では、僕と踊っていただけませんか?」

踊ってくれるの?
…優しいルカ。

「……はい」

私はそっとルカに手を伸ばす。
いつもルカは優しく私の手を握ってくれる。
普段は目をそらしたりする時もあるルカは、ダンスを踊ってくれる時はいつもより私を見て微笑んでくれる。

そんな時間が私は好きだ。

「ふふっ!少し上手になったね」

「そう?でもまだ苦手なの。わっ!また足を踏みそう!」

でもダンスはやっぱり苦手だわ。
練習してるんだけどな。
もっと上手にならないと、ルカと踊れなくなるかも!

ルカのダンスのパートナーは私でいてほしい。
この距離で見つめ合えるのは私だけで…。

ダンスが終わるとルカの綺麗な手が、宝物のようにそっと私の指先を握る。
そしてキスをする真似をして、私を見つめてくれる。

私はその綺麗な手と綺麗に煌めくグレーの瞳に捕らわれるようにいつもドキドキする…。

やっぱりルカは私の……。


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