転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～

「お帰りなさいませ、お嬢様」

洗練された所作の執事が『お帰りなさいませ』と言った。
お店に入ったはずなのに、どこかのお屋敷に来たような内装だ。
そして座り心地の良いソファーへと案内をされ、アフタヌーンティーセットを注文する。

「ここは私のお気に入りのお店なのです」

「……どう見ても『執事喫茶』ね。前世の香りがプンプンするわ」

キョロキョロと店内を見回す真璃愛。

「ご令嬢方に広まりつつあります」

「本物の執事が身近にいる世界なのに『執事喫茶』？」

「やはりお店ですと、『おもてなし』の部分が重要視されているからではないでしょうか？理想と現実は違うというか…」

「…そういうもの？」

注文したアフタヌーンティーセットがテーブルに運ばれた。
真璃愛好みの３０歳前後の年上の執事による丁寧な説明とサービスが素晴らしい。
そして、お店の雰囲気にもしっくりと合うお洒落なティーカップで香りの良い紅茶を飲む。

「…なんとなく分かったわ」

「しかし、『ツインズ』のおふたりを見かけた時も驚きましたが、真璃愛様までとは！」

「あなたは琉翔のファン？」

「はい！今は琉翔くんと同じ学校で同じ教室にいるなんて！本当に夢のようです！！授業中ずーーーーっと見てました！とっても格好良くて、可愛いかったです！」

「いいわねぇ。私も琉翔と一緒が良かったのに…」

「真璃愛様は今世でも琉翔くんと仲がいいのですね」

「琉翔は私の可愛い弟なのよ」

「今世でも！素敵です！」

「あなたは私のことも知っているの？」

「もちろんです！『ツインズ』の自然な姿のプライベート写真を、特に琉翔くんの可愛い姿をＳＮＳにたくさんアップしてくださり、私達琉翔くんファンにとっては神のような存在でした！！」

「見てくれてたのね、ありがとう」

「『ツインズ』の時の王子様風のキラキラした琉翔くんはまさにアイドル！そんな王子様のプライベートな姿！『クールな琉生くん』と『可愛い琉翔くん』のイメージをより広めたのは真璃愛様です！」

「フフフ。まぁ、幼馴染みである私でしか撮れない写真もあったからね」

「もう、マカロンをとっても美味しそうに食べて、ふにゃっとした笑顔の琉翔くんなんて可愛さの極み！悶え死ぬ！！！と携帯握りしめて悶絶してました！！」

「あれはめちゃくちゃバズッたわね。あとで琉翔に怒られたけど、可愛かったわよね」

お嬢様達は前世の、主に琉翔の話で盛り上がり、楽しいティータイムを過ごした。