愛人家
 てっきり孤児院に戻されると思っていたのに、わたしを気遣ってくれる。治らないと思っていた傷も治してもらえる?

「……この傷、治るの?」
「治るよ。治療薬が届くのに時間は掛かるけど、届いたらすぐ治すからね。だから、愛子を手放すなんてことはしないよ」

 そう言ってくれたパパにわたしは思わず抱き着いて、大きな声で泣いた。
 こんなに大きな声で泣いたのは久しぶりだ。そんな事をしたら両親に殴られるからだ。パパはそんなわたしの背中を優しく撫でてあやしてくれた。その温かさが心地よくて、わたしはいつの間にか目を閉じて眠ってしまった。
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