愛人家
「パ、パパ?」

 なんでパパが轢かれているの? わたしがあの場所に居たはずなのに……。確かに何かと衝突したと思ったらけど、あれはパパがわたしを助ける為に反対側へ突き飛ばした感触だったの?

「パパ、パパ!」

 わたしはすぐにパパの側に駆け寄る。パパはわたしの声を聞くと、薄く目を開けてわたしを見つけると安堵した表情を浮かべた。

「良かった、無事だったんだね」
「良かったじゃないよ! パパ死にそうなんだよ⁉︎」
「大丈夫だよ、すぐに治るから」

 そう言っている口からごぽりと血を吐いている。

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