「大好き♡先輩、お疲れ様です♡」溺愛💕隣りのわんこ系男子!
第18話 城ヶ崎君視点「先輩、今日も可愛いですね♡」8
ふはあっ、野坂先輩とランチデート楽しいなっ。
邪魔者さえ来なければ、もっと楽しいのに。
「せっかくの野坂先輩からの愛情たっぷり弁当をゆっくり味わう時間があんまりないなんて」
「うん、そうだね……、ほんと。でもでも、城ヶ崎君のお弁当、すっごく美味しいよ」
「ありがとう、先輩。僕、先輩のこの可愛いハートの卵焼きを写真で撮りたいな」
「また作ってあげるから。早く食べちゃおう」
やっぱり記念に写真を撮ろう。
僕はサッとスマホで写真を撮る。
「城ヶ崎君、さっきも写メ撮ってたのに」
「先輩、さっきのあれはお弁当の全体像です。今のはハートの卵焼きオンリーを撮りました」
はあ〜、なんて幸せな時間だろうか。
恋のライバルたちさえ来なければもっと幸せなんだが。
可愛いもんな、野坂先輩。
社内の男がこぞって彼女に告白するのも仕方ないか。
先輩ってやや天然で純朴すぎて、告白されてもあまり本気にしてなさそうなフシがある。
あっ、先輩は社内恋愛はしたくないんだった。
うっかり忘れてた。
僕が会社の後輩でありつづけるかぎりいつまでたっても……、いや永遠に先輩とは恋人にはなれないのでは……?
ううっ、ちょっと焦ってきた〜。
野坂先輩が本人はまったく気づいていないところで、素敵な先輩は、愚かで憐れな餓えた男連中を魅了して惹き寄せてしまうようだ。
そんな狼どもは僕がどうにか叩きのめすまでだけど。
「すっごい美味しいです。竜田揚げもポテサラも……、くまの形のおにぎりも」
野坂先輩は恥ずかしそうに顔を桃色に染めて、嬉しそうに微笑んだ。
「もう、城ヶ崎君、褒めすぎ。それを言うなら城ヶ崎君のブリの照焼も甘辛くて味加減が絶妙で、私のほっぺたが落ちそうだよ」
くう〜っ、可愛いですっ!
和久井タケルのあほ――っ。あの人が邪魔しなきゃ、もっと先輩と味の感想を言いながらおしゃべりとお弁当を堪能できたのに。
しかも先輩ってば、カップケーキも焼いてきてくれたんだ。
あとでじっくり食べようと思ったら「飾り付けがいちごの生クリームだから早めに食べてほしくって……」とか可愛い先輩の瞳で言われちゃったら、今いただくしかないっしょ。
「あっ、城ヶ崎君。……クリームついてる」
「えっ――」
野坂先輩の人指し指が僕の唇のはしに触れる。
さっとクリームを拭ってくれて……。
先輩に触れられたところが妙に熱い。
「ありがとう……ございます。は、恥ずかしいな」
「待って。もうちょっとちゃんと拭いておこう?」
先輩がハンカチで僕の顔を拭いてくる。
そんなことされたら子供みたいで恥ずかしいのに、先輩の優しさに僕はうっとりとしてしまう。
「急かしてごめんね。時間無いのに慌てて食べたからだよね? 私、これから外回りだから、城ヶ崎君にカップケーキ渡しておかなくっちゃって思って」
「先輩ありがとう。僕のためにお菓子焼いてきてくれたんだもんね」
僕は先輩の頬にキスをする。
これは僕の感謝と悪い男から守りますようにとの防衛の気持ちです。
「じょ、城ヶ崎君っ。会社でキスはもうだめ!」
「ちぇっ。じゃあ、今夜先輩が僕の家に遊びに来たら続きをしましょうね〜」
「しないっ、しないからね。私は今夜は城ヶ崎君のおうちにはいけません」
「どうしてぇ、先輩?」
「今日は晩ご飯は妹と食べる予定なので」
「あれ? 野坂先輩のお父さんは?」
「父は出張に行くっていうから。たまには姉妹だけで食べようかなって」
「そうですか。うーん、僕もご一緒できませんか? 妹さんにご挨拶しておきたいし。そのうちお父様にも……」
先輩は「えっ!」っとすっごいびっくりした顔をした。
僕としてはきちんと挨拶をしておきたい。
「あのですね。図らずも先輩は僕の家族には顔を合わせているわけだし、僕の方としましても可愛がって頂いてる先輩のご家族にはご挨拶をしたい。それに僕の顔を知っておいてもらいたいんです。先輩とデートとか公認で誘いたいので。外でお父様や妹さんとばったり会うってことがあっても、一度僕と会っていれば先輩も困らないと思うんです」
野坂先輩はあっけにとらわれていた。
早口でまくし立てすぎたかなあ。
「ご、ご、ご挨拶って。あの、城ヶ崎君のこと、うちの家族になんて紹介すればいいの?」
「それはもちろん、恋人ですって。彼氏ですって言ってくれて構わないんですよ?」
「――っ!」
先輩はすっごい真っ赤な顔になって困ってる。
そんな顔もまた可愛いんだよな。
思わず抱き寄せて、野坂先輩を胸のなかにおさめてしまいたくなる。
「どど、どうしようかな〜」
「考えておいてくださいね、先輩。ところで先輩、さっきのその話の外回り、一緒に出掛けるお相手はまさか常盤社長だったりしませんよね?」
「うぐっ。……す、鋭いなあ。相変わらず城ヶ崎君は」
やっぱり!
何が公私混同しないだ、あの社長め。
――それに。
さっきの和久井タケルのこともものすごぉく気になるんだが。
あの人、恋人と別れたばかりで野坂先輩に迫って口説いてくるとはなんて奴だ!
常盤社長の野坂先輩への気持ちを知った上で、好きだとか恋人候補に立候補とか言ってるんだろう?
実は探りとか? それか僕を牽制するために来たのか。
ただたんにこの場を乱して楽しんで、あわよくば先輩の気持ちをかっさらいたいとか?
漁夫の利とかいう諺《ことわざ》もあることだし、要注意だってことに変わりはないな。
可愛い野坂先輩に「先輩、浮気しちゃだめだからね」と釘をさしたいが、あいにく僕の立場は未だにただの同僚で後輩なので、そこまでは言えない。
ううっ、早く本物の恋人同士になりたい。
もう僕はどうやって先輩を口説いたら、本当のカップルになれるんだろうか?
恋人ごっこみたいなのも楽しいけれど、僕としてはちゃんとお付き合いしたい。
キスだって遠慮しあわないで、いつでも交わせるように。
「ごちそうさまです。先輩のお弁当とってもとっても美味しかったです」
「ごちそうさまです。ありがとう。城ヶ崎君のお弁当もすっごく美味しかったよ」
にこっと笑った先輩の顔にきゅうぅぅんと胸が高鳴った。
もう、どうすんだ。こんなに好きだ。
こんなに野坂先輩のことが……好きだ。
僕は見つめ合う一瞬の間に先輩の顔を両手で包んでキスをした。
先輩は隙だらけ。……好き。
「んっ」
「先輩、今日も可愛いですね♡」
「城ヶ崎君っ! だから会社じゃキスは……」
「はいはい。……先輩からもしたくなったら僕にキスしてくれて良いんですよ?」
「じょ、城ヶ崎君っ。私からなんてキスしないから!」
「プッ……はははっ」
甘い口づけ……。これはなんだろう。
恋人になるための、キス。
先輩の恋に怯えてしまった心を溶かすため、僕の口づけが先輩を熱く蕩けさせたら良いな。
「ランチタイム終わっちゃった。……戻らないと」
「先輩。常盤社長に心を盗まれないでくださいよ?」
「そ、そんなことにはならないよ。仕事だもん」
「心配だな〜。……野坂先輩の番犬としては常に護衛をしたいのですが」
僕は先輩の手を握って耳元でささやく。
「大人しくあなたの帰りを待ってます、先輩」
先輩はくすぐったそうにもじもじして声にならない声を発してる。
耳元に息がかかるの、先輩弱いよね。
僕はもっともっと先輩と一緒にいたい。
いちゃいちゃしたいです。
🌹
「おっそいなあ、先輩」
僕は心配です。
だって野坂先輩は午後から常盤社長のお供で出掛けているんです。
先輩からの愛情を手作りお弁当で摂取したとはいえ、僕は心配でたまりません。
相手はあの常盤社長だ。
先輩が情にほだされたり、常盤社長の魅力や強引さに流されてしまわないだろうか。
加えて、常盤社長は野坂先輩の大学時代の同じサークルの先輩だっていうし、在学中に野坂先輩にキスをしている。……唇にしなかったとしても。
キスを仕掛けていくということはその頃から好意があったのは明白だ。
常盤社長の離婚だって野坂先輩を忘れられていなかったからとか言ってんだろ?
敵は頭も回るし、僕より断然大人の男だ。
先輩がぐらつかないように、僕がしっかり思いを伝えたりしないと……。
このままだと常盤社長に野坂先輩を奪われてしまう。
「どうした〜? 城ヶ崎君、難しい顔して〜」
「ああ、今田主任。いやなんでもないです」
「茜音ちゃんのこと、考えてるんでしょ? 常盤社長じきじきのお声がけで外回りに出掛けていったからねえ。心配だよね、ほぼカレシとしては」
「な、なんなんですか、ほぼカレシって」
「うちの部では城ヶ崎君のことみんなそう言ってるよ、うふふっ。……茜音ちゃん、まだ中山君のこと引きずってて新しい恋に踏み出せないんでしょ? 城ヶ崎君が一生懸命茜音ちゃんの傷を癒やしていくしかないよね」
そうなんですよね。
今田主任のいうとおりです。
じっくりゆっくり誠実に思いを伝えていく。
デートを重ねて、楽しい時間を過ごして、悩みを互いに打ち明け合ったりしながら。
そうして野坂先輩に僕を分かってもらって心を許してもらい、受け入れてくれるのを待つしかない。
純粋に僕は先輩のことが好きだから――。
邪魔者さえ来なければ、もっと楽しいのに。
「せっかくの野坂先輩からの愛情たっぷり弁当をゆっくり味わう時間があんまりないなんて」
「うん、そうだね……、ほんと。でもでも、城ヶ崎君のお弁当、すっごく美味しいよ」
「ありがとう、先輩。僕、先輩のこの可愛いハートの卵焼きを写真で撮りたいな」
「また作ってあげるから。早く食べちゃおう」
やっぱり記念に写真を撮ろう。
僕はサッとスマホで写真を撮る。
「城ヶ崎君、さっきも写メ撮ってたのに」
「先輩、さっきのあれはお弁当の全体像です。今のはハートの卵焼きオンリーを撮りました」
はあ〜、なんて幸せな時間だろうか。
恋のライバルたちさえ来なければもっと幸せなんだが。
可愛いもんな、野坂先輩。
社内の男がこぞって彼女に告白するのも仕方ないか。
先輩ってやや天然で純朴すぎて、告白されてもあまり本気にしてなさそうなフシがある。
あっ、先輩は社内恋愛はしたくないんだった。
うっかり忘れてた。
僕が会社の後輩でありつづけるかぎりいつまでたっても……、いや永遠に先輩とは恋人にはなれないのでは……?
ううっ、ちょっと焦ってきた〜。
野坂先輩が本人はまったく気づいていないところで、素敵な先輩は、愚かで憐れな餓えた男連中を魅了して惹き寄せてしまうようだ。
そんな狼どもは僕がどうにか叩きのめすまでだけど。
「すっごい美味しいです。竜田揚げもポテサラも……、くまの形のおにぎりも」
野坂先輩は恥ずかしそうに顔を桃色に染めて、嬉しそうに微笑んだ。
「もう、城ヶ崎君、褒めすぎ。それを言うなら城ヶ崎君のブリの照焼も甘辛くて味加減が絶妙で、私のほっぺたが落ちそうだよ」
くう〜っ、可愛いですっ!
和久井タケルのあほ――っ。あの人が邪魔しなきゃ、もっと先輩と味の感想を言いながらおしゃべりとお弁当を堪能できたのに。
しかも先輩ってば、カップケーキも焼いてきてくれたんだ。
あとでじっくり食べようと思ったら「飾り付けがいちごの生クリームだから早めに食べてほしくって……」とか可愛い先輩の瞳で言われちゃったら、今いただくしかないっしょ。
「あっ、城ヶ崎君。……クリームついてる」
「えっ――」
野坂先輩の人指し指が僕の唇のはしに触れる。
さっとクリームを拭ってくれて……。
先輩に触れられたところが妙に熱い。
「ありがとう……ございます。は、恥ずかしいな」
「待って。もうちょっとちゃんと拭いておこう?」
先輩がハンカチで僕の顔を拭いてくる。
そんなことされたら子供みたいで恥ずかしいのに、先輩の優しさに僕はうっとりとしてしまう。
「急かしてごめんね。時間無いのに慌てて食べたからだよね? 私、これから外回りだから、城ヶ崎君にカップケーキ渡しておかなくっちゃって思って」
「先輩ありがとう。僕のためにお菓子焼いてきてくれたんだもんね」
僕は先輩の頬にキスをする。
これは僕の感謝と悪い男から守りますようにとの防衛の気持ちです。
「じょ、城ヶ崎君っ。会社でキスはもうだめ!」
「ちぇっ。じゃあ、今夜先輩が僕の家に遊びに来たら続きをしましょうね〜」
「しないっ、しないからね。私は今夜は城ヶ崎君のおうちにはいけません」
「どうしてぇ、先輩?」
「今日は晩ご飯は妹と食べる予定なので」
「あれ? 野坂先輩のお父さんは?」
「父は出張に行くっていうから。たまには姉妹だけで食べようかなって」
「そうですか。うーん、僕もご一緒できませんか? 妹さんにご挨拶しておきたいし。そのうちお父様にも……」
先輩は「えっ!」っとすっごいびっくりした顔をした。
僕としてはきちんと挨拶をしておきたい。
「あのですね。図らずも先輩は僕の家族には顔を合わせているわけだし、僕の方としましても可愛がって頂いてる先輩のご家族にはご挨拶をしたい。それに僕の顔を知っておいてもらいたいんです。先輩とデートとか公認で誘いたいので。外でお父様や妹さんとばったり会うってことがあっても、一度僕と会っていれば先輩も困らないと思うんです」
野坂先輩はあっけにとらわれていた。
早口でまくし立てすぎたかなあ。
「ご、ご、ご挨拶って。あの、城ヶ崎君のこと、うちの家族になんて紹介すればいいの?」
「それはもちろん、恋人ですって。彼氏ですって言ってくれて構わないんですよ?」
「――っ!」
先輩はすっごい真っ赤な顔になって困ってる。
そんな顔もまた可愛いんだよな。
思わず抱き寄せて、野坂先輩を胸のなかにおさめてしまいたくなる。
「どど、どうしようかな〜」
「考えておいてくださいね、先輩。ところで先輩、さっきのその話の外回り、一緒に出掛けるお相手はまさか常盤社長だったりしませんよね?」
「うぐっ。……す、鋭いなあ。相変わらず城ヶ崎君は」
やっぱり!
何が公私混同しないだ、あの社長め。
――それに。
さっきの和久井タケルのこともものすごぉく気になるんだが。
あの人、恋人と別れたばかりで野坂先輩に迫って口説いてくるとはなんて奴だ!
常盤社長の野坂先輩への気持ちを知った上で、好きだとか恋人候補に立候補とか言ってるんだろう?
実は探りとか? それか僕を牽制するために来たのか。
ただたんにこの場を乱して楽しんで、あわよくば先輩の気持ちをかっさらいたいとか?
漁夫の利とかいう諺《ことわざ》もあることだし、要注意だってことに変わりはないな。
可愛い野坂先輩に「先輩、浮気しちゃだめだからね」と釘をさしたいが、あいにく僕の立場は未だにただの同僚で後輩なので、そこまでは言えない。
ううっ、早く本物の恋人同士になりたい。
もう僕はどうやって先輩を口説いたら、本当のカップルになれるんだろうか?
恋人ごっこみたいなのも楽しいけれど、僕としてはちゃんとお付き合いしたい。
キスだって遠慮しあわないで、いつでも交わせるように。
「ごちそうさまです。先輩のお弁当とってもとっても美味しかったです」
「ごちそうさまです。ありがとう。城ヶ崎君のお弁当もすっごく美味しかったよ」
にこっと笑った先輩の顔にきゅうぅぅんと胸が高鳴った。
もう、どうすんだ。こんなに好きだ。
こんなに野坂先輩のことが……好きだ。
僕は見つめ合う一瞬の間に先輩の顔を両手で包んでキスをした。
先輩は隙だらけ。……好き。
「んっ」
「先輩、今日も可愛いですね♡」
「城ヶ崎君っ! だから会社じゃキスは……」
「はいはい。……先輩からもしたくなったら僕にキスしてくれて良いんですよ?」
「じょ、城ヶ崎君っ。私からなんてキスしないから!」
「プッ……はははっ」
甘い口づけ……。これはなんだろう。
恋人になるための、キス。
先輩の恋に怯えてしまった心を溶かすため、僕の口づけが先輩を熱く蕩けさせたら良いな。
「ランチタイム終わっちゃった。……戻らないと」
「先輩。常盤社長に心を盗まれないでくださいよ?」
「そ、そんなことにはならないよ。仕事だもん」
「心配だな〜。……野坂先輩の番犬としては常に護衛をしたいのですが」
僕は先輩の手を握って耳元でささやく。
「大人しくあなたの帰りを待ってます、先輩」
先輩はくすぐったそうにもじもじして声にならない声を発してる。
耳元に息がかかるの、先輩弱いよね。
僕はもっともっと先輩と一緒にいたい。
いちゃいちゃしたいです。
🌹
「おっそいなあ、先輩」
僕は心配です。
だって野坂先輩は午後から常盤社長のお供で出掛けているんです。
先輩からの愛情を手作りお弁当で摂取したとはいえ、僕は心配でたまりません。
相手はあの常盤社長だ。
先輩が情にほだされたり、常盤社長の魅力や強引さに流されてしまわないだろうか。
加えて、常盤社長は野坂先輩の大学時代の同じサークルの先輩だっていうし、在学中に野坂先輩にキスをしている。……唇にしなかったとしても。
キスを仕掛けていくということはその頃から好意があったのは明白だ。
常盤社長の離婚だって野坂先輩を忘れられていなかったからとか言ってんだろ?
敵は頭も回るし、僕より断然大人の男だ。
先輩がぐらつかないように、僕がしっかり思いを伝えたりしないと……。
このままだと常盤社長に野坂先輩を奪われてしまう。
「どうした〜? 城ヶ崎君、難しい顔して〜」
「ああ、今田主任。いやなんでもないです」
「茜音ちゃんのこと、考えてるんでしょ? 常盤社長じきじきのお声がけで外回りに出掛けていったからねえ。心配だよね、ほぼカレシとしては」
「な、なんなんですか、ほぼカレシって」
「うちの部では城ヶ崎君のことみんなそう言ってるよ、うふふっ。……茜音ちゃん、まだ中山君のこと引きずってて新しい恋に踏み出せないんでしょ? 城ヶ崎君が一生懸命茜音ちゃんの傷を癒やしていくしかないよね」
そうなんですよね。
今田主任のいうとおりです。
じっくりゆっくり誠実に思いを伝えていく。
デートを重ねて、楽しい時間を過ごして、悩みを互いに打ち明け合ったりしながら。
そうして野坂先輩に僕を分かってもらって心を許してもらい、受け入れてくれるのを待つしかない。
純粋に僕は先輩のことが好きだから――。