月へとのばす指
未開の道が、初めて受け入れる硬い棒に反応して、きしむように震え出す。
「あっ、う、あ……いっ、あぁっ」
唯花の喘ぎにも、痛みの響きが混ざっている。初めての女を抱いたことは前にもある。その時を思い出して、できるだけ慎重に、彼女の最奥を目指して道を進んだ。
ついに届いた時、軽い衝撃が先端に感じられた。唯花が鋭く息を飲む。
「ひぅ」
彼女が短く悲鳴を上げた直後、根元を入口が、きゅうぅと締め付ける。あまりの強さと心地よさに、思わず全身がぶるぶると震えた。
「くっ……はぁっ」
呻きながら一度まぶたを閉じ、開くと、唯花と目が合う。その目はなぜだか、不安そうに曇っていた。
「……どうかした?」
「苦しい、の?」
「え?」
「ふじしろ、さんも痛いものなの?」
ああなるほど、と久樹は思った。さっきの自分の様子を、苦しいか痛いかで出した呻きだと思ったらしい。何も知らない、初めてだからこその彼女の勘違いを、可愛いと感じた。
「違うよ……気持ちいいんだ、君の中にいるのが」
「……え」
呟きをこぼし、恥ずかしそうに目を伏せる唯花の唇に、そっとキスをする。
「本当だよ。すごく、気持ちいい」
開かれたばかりの道は、熱くうねる壁と、とろりと絡みつく蜜で満たされている。その全てが久樹のモノを充分以上に刺激して、たまらない快感を与えてくれていた。
「君は、どう? やっぱり痛い?」
すぐにも動きたい衝動を抑えつつ尋ねると、唯花は遠慮がちに肯定した。
「……思ったほどじゃ、ないけど。奥がちょっと、痛い」
ちょっと、と唯花は言ったが、眉間に寄っているシワからすると、言うよりも痛みを感じているような気がする。
気を遣ってくれているのだろうか。そう思うとなおさら、愛おしさが増していく。
彼女の中にある自分の一部が、質量を増すのがわかった。は、と唯花がかすかに息を漏らす。今のを感じ取ったのなら気持ち良くなれる余地はあるはずだ、と確信した。
「なるべく、ゆっくり動くから。痛かったら遠慮しないで、言って」
そう言いながら久樹は、たとえ痛いと言われても、たぶん止められないだろうなと考えていた。動かない今でもこんなに気持ち良いのだ。動いたらどれほど感じられるだろうか、と思うと欲求のままにふるまいたい衝動があふれ出しそうになる。
だが、唯花は初めてなのだ。絶対に、乱暴に扱ってはいけない。